竜也語り

2004年10月21日(木) おなべな女達

先日カルーセル真紀さんが戸籍上も女性と認められ正真正銘の女性となった。彼女は性同一性障害で大変辛い思いをしたそうだが、そんな深刻な悩みを感じさせない明るい人のように思える。恐らく努めて明るく振舞っていたのだろうが。
男性が女性の格好をしている人達をオカマとかニューハーフとか言うが、女性が男性の格好をしている人達を確か“おなべ”と言ったと思う。以前会社の飲み会の2次会だか3次会だかでオカマバーなる所へ行ったことがある(汗)。彼女(?)達の立ち振る舞いはある意味私達女性よりも女性らしいが、お顔も驚くほど綺麗な人がいる。中には無理があるような人もいるのだが(笑)。キャラクターはいたって面白く楽しく、落ち込んだ時はいいかも知れない。その時彼女達が話してくれたのだが、オカマさん(←あえてこの言い方にします)は永遠に女で男に戻ることはないが、おなべさんは男の恋人ができるとすぐに女に戻るんだそうだ。ただその時の気分でそういうことをやっており私達とは違うのよ〜と熱く語っていた。全ての人がそうではないだろう。確か女性の性同一性障害の競艇(だったかな?)の選手が男性と認められたとか認められなかったとか…そんなニュースがあったように思う。

私の周りにもそんなおなべな女達がいた。一人は以前一人暮らしをしていたアパートの住人。私の住んでいた所は県内で有名な娯楽の街の近くだったのでどことなく怪しげな店がある。彼女は「おなべバー」みたいな店に勤めていた女の子だ。(断っておくが私はその店に行ったことはない。)源氏名はマサオと言ったそうだ(笑)。とても人懐こく普段の格好も男の子で、店に出る前は胸を潰すためにさらしを巻くのだが、「あつこさ〜ん、さらし巻いて〜」と私が部屋にいる時はさらしを持ってやって来た。「もっともっときつく巻いて下さ〜い」と要求する彼女と足を踏ん張ってさらしを巻いてやっている私…親がこんな状況を見たら卒倒するだろうなぁ・・と漠然と思っていた。一度彼女に尋ねたことがある。恋愛の対象も女性なのか?と。彼女は人をそこまで好きになったことがなく、男でも女でも付き合ったことはないと答えた。もちろん私に対しても恋愛感情は持っていなかったようだし(←あたりまえだろっ!てか)わきの下もきれいに手入れをしてあった(←意識して見たわけではありません!)。1年位住んでいただろうか、ある日突然夜逃げのようにアパートを出て行ってしまい、後日家族の人が部屋の荷物を引き取りに来ていたそうだ。

もう1人は取引先の女性。最初電話だけで話をしていたうちは女性と話をしているつもりだった。仕事では大抵苗字だけで付き合うので男性か女性かなどということはその声だけで判断するもので、その人の声は低かったが女性のように思われたからだ。さて彼女と対面する日がやって来た。私が彼女の会社に出向いて待っていると応接室に入って来たのは若い男性であった。「えっ!男性だったの!?」と焦っている私に差し出された名刺には明らかに女性の名前が印刷されていた。「えっ!?女なの???」ともう訳が分らなくなっている私の動揺を敏感に感じ取った彼女は「はい。女です!ですから女同士ざっくばらんに話をしましょう!」と…すっかりイニシアチブをとられた感じになってしまった…。もちろんスーツも紳士物の男仕立てであったしネクタイも締めていた。足を広げて座る姿といい煙草をつまむように持って吸うその煙草の吸い方といいもう男そのもの(汗)。顔はイケメンで、これで女性の格好をしていたらさぞかし男性にモテルだろうなぁ…と上の空だったのと同時に、彼女のこの生き方を認めているその会社の懐の深さに感心した。仕事の相手であるので恋愛対象は女性ですか?などとは聞けなかったが、さっぱりとした感じのいい人だった。彼女もいつの間にかその会社を辞めてしまい後のことは知らない。

今頃彼女達はどうしているのだろうか?まだ男性の格好をして生活しているのだろうか?はっきりとは分らないが彼女達は性同一性障害というような深刻なものではなかったように思う。いつかのオカマさん達が話していたように、好きな男性が現れて身も心も女性に戻っているかもしれない。そうなっていて欲しいな…私は。


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