竜也語り

2004年11月12日(金) 「新選組!」第30・31話

●第30話「永倉新八、反乱」

新選組は池田屋での活躍が認められ幕府から恩賞金を受け取る。手当てとして隊のメンバー達とそれを分ける事になったが、歳三のその分け方が隊士達の不満を誘発させた。勇や幹部そして現場で働いた者達を優遇し(これは今後、隊士達の士気を鼓舞させるにはいい考えだと思うが)、山南を始めとする屯所で守りについた者達に一文も与えないというのはどうだろうか…?確かに難しいところではある。しかし屯所を守るということも1つの大事な任務だと思うのだが…。

更に歳三は新選組を大きくしようと、より上下関係の厳しい組織編成を考案する。もう歳三は新鮮組のことしか見えていない。おまけに山南を第一線から排除し始めた。
度重なる歳三の独善的なやり方に永倉は猛反発する。「私は雇われ者ではない、同志だ!」結成時の志を口にする永倉に対し、歳三はその場の勢いで内密にしておいた芹沢暗殺のことまで口に出してしまう。歳三と更にその振る舞いを許している勇までに永倉の怒りは飛び火し、山南の助言を受け仲間を募り松平に手を回す。

頂点にいる組織は外部からの攻撃には滅多に崩されるものではない。大抵内部から崩れていくものだ。これが一番恐ろしいと思う。
勇と歳三は2人だけで話し合うことに。本来ならば永倉達は切腹というところだが、勇がこのことは自分に任せるよう歳三を説得する。「俺は忘れない…」歳三が不気味な言葉を発する。“許しても忘れない”この感情が意外とやっかいなのだ。

さて松平に建白書を持参した永倉達であるが、そこには勇が既に出向いていた。「自分は調子に乗っていた。これからも自分を助けて欲しい。」潔く自分の否を認め謝る勇。更に歳三のことまで庇ってあげていた。いつもは歳三に持ち上げられていた勇だが、今回ばかりは局長らしい立派な態度であったと思う。この言葉を聞いて心が動かないようでは人間ではない(笑)。永倉達も再び勇を信じてついて行く覚悟を決めた。

いい組織と言うのは、それぞれの人間が個性を潰され画一化されたものではないと思う。各々が個性を咲かせ、それでも同体となって志を果たしていく…。要はバランスなのだ。歳三のような厳しい人間ばかりでも、また勇のような温厚な人間ばかりでも・・やはり組織は上手く回っていかない。
しかし人間は自分の意志を主張したいものなのだ。最後、歳三と山南がすれ違う場面。2人は静かにお互いの敵意を燃やしていた。

□30話の総司□
恩賞金を貰い、歳三達の思惑に関係なく単純に喜んでいる総司。総司はいつまでもこのままでいて欲しい。しかし病状は確実に進行しているようだ。
医者・考庵と総司の絡みは、先週も思ったのだが、私は好きである。ひょうひょうとした考庵と感情のままに時には不満そうに彼を見つめたり、俯いたりする総司の掛け合いが面白くて、でもそれ以上に哀しくて…。

歳三に別室に呼ばれ、歳三の詠んだ俳句を見つけてしまう。よくわからない(笑)歳三の俳句をからかって笑顔を見せている総司。このシーンの2人は唯一心が和んだ。この時は歳三でさえも安らんでいるように見えた。
だが不意に病気のことを総司は歳三に突っ込まれる。にこやかに笑っていた総司が「うん?」とその笑顔のまま表情が硬くなった…。ここの竜也くん、大変上手かったと思う!

いよいよ歳三に自分が労咳であることを告白する総司。近藤先生には心配をかけたくないから黙っていてと頼む。更に涙を溜めて「おひでちゃんにも…」と。
どうやら総司はひでに想いがあるようだ。ひでの気持ちももう十分気が付いているはずだ。だったらどうして1人で留めてしまうのだろうか…。どうしてひでに話さず彼女を避けるような行動をとってしまうのだろうか…。女なら打ち明けて欲しいと思うぞ。ひでは何も分らず心を痛めることになるんだぞ。総司の気持ちも分らないではないが、同性としてはひでが気の毒であった…。

***第30話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・勇達と永倉の件を話し合っている会合のシーン。1人だけ目をキラキラさせている総司♪
・絶妙な間の後…「なんで土方さんがハタキをかけるんですか?」


●第31話「江戸へ帰る」

勇は松平の命で上様の上洛を老中に談判するために数名の隊士達を連れて江戸へ向う。そこには新隊士を江戸で募るという目的もあった。しかし、今の幕府や旗本には上洛する際の支度金が準備出来ないとあっさり断られてしまい、不甲斐ない思いを抱くことになる。

江戸で久しぶりにつねや周斎らとの再会を果たす勇。つねやたまと過ごしている時の勇は幸福で満ち足りた笑顔を見せていた。こんな時は深雪太夫の存在などすっかり忘れてしまっているのだろうか…?
そしていよいよ伊東大蔵の入隊が決まった。この事により自分が破滅への坂を転げ落ち始めたこのなど藤堂は露知らない。

一方勇のいない京都では土方が忙しく動いていた。松平の建白書の一件を局長・勇に対する謀反として処罰するためだ。原田等の謹慎組の中で、土方は建白書の下書きを書いた葛山の切腹を決めた。謀反組の中でその存在の有無が隊に一番影響しない人物を選んだという感じであった。
事実本を読んでいるのが一番好きだという葛山は、歳三にとっては物足りない人物だったのかも知れない。
山南の反対を押し切って突っ走る歳三。それでも試衛館以来の仲間・井上だけには自分の苦しい胸のうちを打ち明けた。しかし歳三が人間らしい弱さを見せたのはその時だけだった。

自分1人だけの切腹が決まった葛山は「何でオレがっ!?」といつもの穏やかな態度を一変させて取り乱す。当然だ。本人にしてみればそんなことたまったもんじゃない。彼は兎に角事態をよく把握していなかったのだ。永倉に言われるがままに下書きを書いた。歳三の言うところの「覚悟も信念もなく謀反を起こした」なんて言う以前の問題なのだ。
葛山の切腹の介錯を、この一件のスパイであった斎藤が行う。「裏切り者!」と罵られても眉1つ動かさない斎藤は不気味だった。
それを見届けている土方、井上、総司。しかし、昔の人の精神力の強さと野蛮さとは紙一重だと思った。現代の殆んどの人間は、とても首を斬り落とす現場などまともに正視出来るものではない。

自分の目の届かない間に葛山の一件が済んでしまったことを知る山南は顔色を変えて屯所に戻って来た。一時前、「新選組のやっていることは(日本のために)役に立つ連中を斬っているだけだ。」と坂本に突かれ、山南は少し迷いがでている。追い討ちをかけるようなこの一件により、山南の新選組に対する思いは急激に冷めていったようだった。

□31話の総司□
明里が登場した。茶屋で身を売られたために最後のしるこを楽しむ彼女に対し、「じゃぁ(身を)売られてきたんだ。」と言い辛いことを難なく言ってのけた(汗)。…いえいえ彼は全然悪気はないんです…。本当です…。

今週もひでのことを避けていたが総司はひでとの関係をこのままずるずると誤魔化して中途半端なまま終わらせる気でいるのだろうか?もう少し何とかした方がいいと思うのだが…。

会合中咳き込みバツの悪そうな顔をする総司。当然のことながら勇にも気付かれてしまった。江戸で総司の病状を松本良順に相談する勇。この時良順が労咳のことを詳しく説明していたが、それを聞いていて少しぞっとしてしまった。そんなことが総司の身体の中で起こっているのかと思うと…。本当に馬鹿なことこの上ないが、総司と竜也くんが重なってしまうのですよ(汗)。
「これを飲めばあなたの大事な人の苦しみが少しは和らぐでしょう。」と薬を勇に渡す良順。何となく気休め的なこの言葉を聞いて、またまた胸キュンキュン、ハラハラ…。
…余りに自分が滑稽なので・・もう止めます…(苦笑)。

***第31話の私のつぼ(藤原総司限定)***
・「じゃぁ、売られてきたんだ。」病気になっても思ったことをすぐ口にする総司…。
・葛山の最後を見届ける場面。アップになった総司の整然とした顔つきが・・頼もしくもあり、恐くもあり…。


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