竜也語り

2004年11月17日(水) 「新選組!」第40・41話

●第40話「平助の旅立ち」

伊東はいよいよ新選組離脱を決意する。その際伊東は永倉と斎藤を伊東一派の旗揚げメンバーとして参加させようと、勇の了解を得ているという嘘をつき二人を酒宴の席に誘った。策に乗じなかなか本題を切り出さないでいるうちにその嘘が暴露し、結局伊東は永倉と斎藤の心をつかむことは出来なかった。
人を信じようとしない人間は人からも信じてもらえることは出来ない。自分の頚動脈に刀を突きつけ2人を引き止めようとする伊東の自己陶酔ぶりには正直引いた…。早く斬ればぁ…。

歳三は伊東のこの動きを察知し勇に警告する。ここで最近めっきり隊内で評判を落としている武田観柳斎が伊東の説得に買って出るが、あえなく失敗。…何だが観柳斎が可哀想になってきてしまった…(汗)。
結局伊東は自分の分裂は長州の動きを探る探索活動(?)とか、帝をお守りするとか…よくわからない大義を自ら勇達に与え分裂をごり押しした。勇も仲間うちで無駄な血を流すことを避けるため、あえて伊東に言いくるめられる形を取った。とりあえず今は負けるが勝ちと言ったところだろう。
それでも歳三は斎藤を伊東一派の中に間者として送り込み、抜け目ないところを見せた。

伊東道場出身の平助は非常に苦しい立場であったが、最後は伊東についていくことを決意し新選組に別れを告げる。平助は伊東道場に席を置いている時分、伊東に名前さえ覚えてもらっていなかった。しかし伊東は京に旅立つ平助に名前を覚えたことを強調し平助を感動させ、後に京での新選組での動向を知らせるように託す。勇達浪士組が京へ上る時にすでに京進出を狙っていた伊東の懐柔の策にまんまと引っ掛かってしまったわけなのだが…。それでも「先生」と伊東に義理を立てる平助の実直さが哀れだった。

□40話の総司□
島田と子供達が羽子板で遊んでいる姿を眺めている総司の笑顔は穏やかだ。「沖田さんもどうですか?」と島田に誘われ、素直に頷いた総司の姿が嬉しかった。

今週一番印象に残ったのは平助とのシーン。総司の全てを羨む平助に対し、厳しくも思いやりのあるはなむけの言葉を贈っていた。
拭っても拭いきれない伊東への不信感を愚痴る平助に「お前はいちいち言葉にしてもらわないと相手の気持ちが分らないのか!?何も言わない間柄が一番なんだよ。」と急に大人びたことを諭した。この言葉にドキッとしたが、でも…やはりここぞと言う時は自分の気持ちをはっきりと相手に言葉にして伝えなければならない…と私は思うのだ。

そして総司は自分が労咳であることを平助に告白する。
「お前の元気な姿が羨ましい…。来年のお前が羨ましい…再来年のお前が羨ましい…」と涙を零さずに言ったこの言葉は、平助を諭すだけのものではなく、これは総司の本心なのだと思う。総司の気持ちを一生懸命想像してみた…。だから涙を流さなかった総司に感服した。
「だから私を羨ましいなんて言わないように。」急に笑顔で振り返り明るく話す総司に…ちょっとうるうる…。

ついこの間まで宝さがしをやっていた総司から、ここ2〜3週間位で随分と変貌してしまった。先週は荒れて、今週はもう既にその段階を少し乗り越えたようにさえ思える。どんどん成長していく総司…。生き急ぐとはこういうことなのだろうか…。

***第40話の私のつぼ***
・総司と平助のシーン。特に総司。言葉と言葉の間に見せる無言の表情にちょっとだけメリックがいた…と思う…。
・伊東のような人間は私はあまり好きではないが、伊東役の谷原章介さんは…結構ステキ♪


●第41話「観柳斎、転落」

勇達新選組の面々は幕府直参として召抱えられることになった。しかし隊内ですこぶる評判の悪い観柳斎の厚遇に対し永倉達の不満がつのり、それにカッとした観柳斎はその一切を返上してしまう。屈辱を受けた観柳斎は自分を慕ってきた数名の隊士達と一緒に新選組を抜け伊東率いる御陵衛士に出奔する。しかし所詮は信念のない寝返り。伊東はあっさり観柳斎を追い返してしまう。行き場を失った脱隊士達は新選組から御陵衛士への移籍を会津藩に直訴するが受け入れられず、絶望してその場で切腹をしてしまった。
ついていく人間を間違えると、それは時に破滅を意味する。肝心の観柳斎は彼らを置いて一度新選組の屯所へ戻ってしまっているのだ。
しかし世の中そんなに甘くはない。ただならぬ隊士達の自分への敵意を感じた観柳斎は京の街を逃げ回る。性懲りもなく再び伊東のもとへ。今度は物で釣ろうとする浅はかな行動に出たがそれも失敗し、次は薩摩藩邸の西郷のもとへ…。しかし西洋の軍学においては観柳斎の知識より薩摩の方が数段上なのだ。見栄も外聞も捨て誰となく媚び諂う観柳斎の姿は腹立だしさを通り越え不憫だった。

結局総司と歳三に見つかり新選組に連れ戻されるが、勇は観柳斎を許した。さすがに切腹の覚悟をしていたようだが、軍師としての立場を剥奪され一平隊士としてやり直すことを命じられる。裏を返せば生きていくことの方が辛い制裁ということなのか。
その夜こっそりと部屋を抜け出す観柳斎。風呂敷に包んだ何かを持って不信な動きを見せる。薩摩藩邸に会津の内情を記した書状でも持っていくのかと思わせたが、後をつけて来た総司に斬られたその
風呂敷の中には2〜3の食べ物が…。すぐ後ろには河合の墓が立っていた。河合の墓に供え物をしながら観柳斎は幾ばくかの武士らしさを見せた。
総司が去った後も暫く河合の墓に手を合わせる観柳斎の背後から隊士達が襲ってくる。「近藤さんからもらった命、ここで捨てるわけにはいかない!」と最後の力を振り絞る観柳斎の姿は…悔しいけど心が動いてしまった。

どんな悪人にも良心があるのだろうか。あのままセコイ嫌な奴のままで最後を迎えて欲しかった。観柳斎は…。こちらもその方が見ていて楽なのだ。何となく後味が悪くなってしまった。三谷さんはなかなか真の悪役を作ってくれない。確かに人間は皆いいものを持っているのだと思う。それを見つけられるか否か…これは相手に接する自分の方の問題なのだろう。ちょっと反省。

□41話の総司□
観柳斎の厚遇に多分に漏れず総司も不満そうだ。柱にもたれながら無言で観柳斎を見つめる総司の顔は素敵。全てを見透かすような瞳がね、訴えているのですよ。
脱隊士の処分に関し、勇の思いなど露知らず「皆斬っちゃえばいいんですよ。」と言ってしまう短絡さには引いたが、藤原総司だから…許せる…(汗)。

河合の墓へ向う観柳斎の後をつける総司…軒先から覗く総司の表情は鋭く涼しく至って美剣士そのものだが、あのつけ方は…すぐばれるのではないかと…。

観柳斎に問われたが結局河合の墓に手を合わせることをしなかった総司。どうしてだろう?昔の総司であったらきっと手を合わせていただろうに。いいのか悪いのかよくわからないが、総司の中では様々な感情が浮かんでは消え、浮かんでは消えしているのかも知れない。
自分が去った後に観柳斎は惨殺されてしまった。観柳斎の誰も知らない一面を知っているのは総司だけだ。観柳斎の亡骸を見る総司は明らかに驚きと後悔の色が見えた。また1つ総司は何かを背負ってしまったようだった。

***第41話の私のつぼ***
・冒頭、勇と歳三が抱き合うシーン。人が来たので慌てて離れるが、髪に手をやる歳三の仕草は、ラブシーンを見られた女性のそれそのもの…。
・「坂本龍馬だ!」総司、いい声でした。


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