2004年11月19日(金) |
「新選組!」第44・45話 |
●第44話「局長襲撃」
王制復古に伴い幕府の役職は悉く廃止される。新選組も「新遊撃隊御雇」と名前が変わりその立場は微妙なものになってきた。そんな中勇は佐々木と共に慶喜に接見しそこで今後の幕府の動向について相談される。薩長との戦を主張する佐々木とは反対に、勇は慶喜が朝敵となることを恐れひたすら恭順の姿勢を貫き時を待つべきと献言する。勇の考え方の方が懸命であろう。京の街で勇達が偶然に長州の人間とすれ違う場面があったが、相手はもう身軽な洋装でしかも最新の武器を手に入れている。一方幕府側はまだ戦国時代の甲冑に身を包んでいるのだ。結果は言わずとも知れている。慶喜は結局大阪城へ下ることを決意し、その際新選組は二条城の護衛を命じられる。先行きを心配して島田が呟く。「新選組はなくなってしまうのでしょうか…。私は他にいるべき場所がないので…。」そもそも新選組はそんな連中の集まりなのだ。島田だけではない。だから余計な心配はしないで勇を信じてついていけばいい。もうそれしかないではないか。
二条城では水戸藩の者が傍若無人な態度を取り、新選組のこれまでの京での行いを獅子身中の虫と痛罵した。しかし勇は負けていなかった。自分達の信念を堂々と言い返し相手を黙らせた。この時の勇の態度は立派だった。こんな時に長が相手に言われっ放しになっていたら下の者達が余りにも惨めだ。この一件で永井の計らいにより新選組は二条城の護衛から伏見へと戦いの場を移すことになる。だが二条城の帰り道、御陵衛士の残党から勇は肩を撃たれてしまう。馬から転げ落ちることは何とか耐えたが、馬上でうずくまる勇。香取さんの迫真ある演技だった。
□44話の総司□ これからの新選組の行末を主だった隊士達が話し合っている最中総司は自分の部屋から抜け出し弱々しくやって来る。髪が乱れ目の下にクマをつくり、おまけに痩せ細っていなかったか?すっかり病人らしくなってしまった…。皆にさんざんその無理を戒められ「そんなによってたかって言わなくたってぇ…」といじける姿は昔の総司だった。
ある日療養中の総司を斎藤が見舞う。体力がついて体にいいと言われたからと朝鮮人参(?)を持ってきてくれるが、一体それが何なのか斎藤本人もわかっていない。「知らない物持って来ないで下さい」と相変わらず思ったことを口にする総司(笑)。でも例のごとく悪気はない。「どうやって食べるんですか?」との総司の問いに斎藤の気まずい沈黙…。「あっ、色々やってみますから」と斎藤を気遣う総司に何となくほっとした。斎藤が何故自分をこんなに気にかけてくれるのか不思議に思う総司。「私は斎藤さんのようになりたかった。無駄口をたたかず、与えられた仕事をきちんと遣り遂げる…あなたみたいな剣士になりたかった…」と目を潤ませて話す総司。しかし斎藤は自分のような人間がどうなってしまうのか知っている。人を斬ることを何とも思わなくなった段階の後に来るのは、斬った相手が夢にまで出てくる名状し難い苦悩だ。恐らく総司には自分のようになって欲しくないのだろう。無駄口をたたきまくるお茶目な総司。自分のような心がなくなってしまったような剣士に総司にはなって欲しくなかったのかも知れない。総司が憧れているほど単純にカッコいいものではないのだ。
そんな総司をある日長州の人間達が襲撃にやって来る。その動きを敏感に察知した総司は刀を持って様子を窺っている。この時の総司は剣の達人らしく病身ながらも鋭い視線を見せた。しかしお孝が帰ってきて自分が作った抜け道に素早く総司を向わす。その抜け道を口を開けて驚いて見ている総司の顔にはもう先程の鋭さはない。試衛館時代の子供(笑)。おまけにお孝に早く!と突き飛ばされ抜け穴に無残に転げ落ち、「何だよぉ〜、病人なんだからさぁ〜」とここぞとばかり病人であることを主張し、穴の下から情けない顔で訴えている総司には悪いとは思ったが笑った。なかなか最後までカッコよくキメさせてもらえないね藤原総司は。
***第44話の私のつぼ*** ・病床でお孝と「やめろよ〜」と戯れている総司。病気になっても辛い目にあっても総司の本質は変わっていない…。
●第45話「源さん、死す」
幕府側が薩摩の挑発にのりいよいよ戦が始まった。ここでどういう訳か幕府側が賊軍となり薩長側は官軍になる。岩倉が思いつきで作っておいたあの旗1つで何でこうなるのか私には今一つ判らない。幕府側が賊軍となったことで腹を決めかねていた諸藩が悉く薩長側に付いてしまったため幕府側は苦戦を強いられる。新選組もしかり。即席で作ったような塀の後ろで控えている新選組に敵方の鉄砲隊が責めてくる。歳三はこの時もう剣の時代は終わったことを悟る。剣の時代の終わりはそのまま新選組の終焉を意味するのだ。勝算がないとふんだ歳三はとりあえず安全な場所まで退去することを指示。 殆んどの隊士達は無事逃げ通すことが出来たが周平だけは身がすくんでしまいその場所で動けなくなっていた。そこに井上が助けに飛び出した。周平を庇い仁王立ちしている井上の身体に容赦なく敵方の弾が打ち込まれた。瀕死の井上に歳三が泣きながら叫んだ「こんな所で死ぬな。局長も総司もいないんだぞ。」 しかし歳三の願いも届かず井上は歳三の腕の中でそのまま静かに息をひきとった。 源さんらしい死に様だった。決して自分は表に出ず徹底して陰で勇や歳三、そして新選組を支えていた。井上の夢や希望はなんだったのだろうか?勇がその希望だったのだろうか?徹頭徹尾師匠に仕え同志のためにその身を使った。井上という人間は自分よりまず他者ありきだったような気がする。ひたすら他者へ尽くしていく…もしかしたこれが真実の人間のあるべき姿なのかも知れない。井上のような人間が一番尊敬されるべきであり、生き方の手本にされるべきであり、そして一番幸福になる権利があると私は思う。だから源さんにもう一度江戸の空を見せてあげたかった。山南よりも平助よりも源さんの死はこたえた…。「自分の人生こうあるべきなんて思わない方がいい。まずは飛び込んでみるべきだ。」源さんの遺言を私はこれからも心に留めておく。
井上の死に逆上した斎藤が敵方に斬り込んで行き、相手をどんどん倒していく。狂ったように斬り込んでいる斎藤の姿は、蝋燭の火が最後に燃え盛っている光景と重なった。
□45話の総司□ 皆に遅れてやっと伏見入りをした総司だが旅の無理がたたりまた喀血したようだ。肩に受けた傷の手当てのために松本良順が控える大阪城に向う勇と供に総司もそれに同行した。「お前に俺の警護をたのみたい。」と勇は総司に申し渡す。「私でいいんですか?」と始めは戸惑っていた総司だが、すぐ「いいですよ」と笑顔を見せた。今の総司に局長警護などという重役が勤まるわけがない。そんなこと百も承知でこんな会話を交わしている2人を見ているのが辛かった。
大阪城に到着し養生している総司の世話をしているお孝にある武士が高飛車な態度で「女は出て行け!」と威嚇する。お孝がさんざんその男に責められている間総司は黙ってボーっとその男の顔を見ていた(汗)。何やってんの?少しは助け船出してあげなきゃ…。松本の正論でその場は治まったが、何か総司って…。
松本が用意した病室を何か落ち着かないから変えてくれと頼む総司。だった広〜い部屋の隅っこに布団を敷いて寝ている(笑)。わかるよ、その気持ち。日本人だね〜。私も広い部屋の隅に布団を敷くクチだ。しかし松本はこれから戦になるからこの部屋はじきにけが人で一杯になるとつぶやく。不安そうに部屋を眺めている総司。総司はまさか源さんがその戦で散ってしまうなんて夢にも思っていない。
***第45話の私のつぼ*** ・岩倉。何か面白よ、このおっさん。 ・布団からはみ出している総司の足の裏…。
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