大学のサークルで出会って、 1年後くらいに付き合いだして、 その前後からも「何かあるのかなー」って くらいしか感じでなかったけど、 付き合い始めたらやっぱりそういうことは 話しておかなくちゃいけないと思ったようで、 少しずつ私に写真屋さんのことを話してくれました。
止めていた歩みを、少しずつ踏み出した。
図書館に連れてってくれて、 そのときの新聞記事を見せてくれた。
近くの砂浜に遊びに行って、 始めは寄せる波を遠くから眺め、 貝殻を拾ったりしながら、 波に足をつけることができるまで回復した。
小説の「黄泉がえり」を私に紹介してくれた。 ちょうどその時期に映画化もされて、 それも一緒に見に行った。
「ノルウェイの森」を紹介してくれたのも彼女だった。
「ノルウェイの森」という本も、 そしてそれを彼女が紹介してくれたということも、 すごく時分にとって意味深に見えた。
ジャック=マイヨールの小説も教えてくれた。
小学校の修学旅行で泊まったホテルも見に行った。 もちろん写真屋さんとの思い出の場所の一つ。
でも、そのとき未だに海への抵抗があったということは、 彼氏がいながらも昔好きだった人のことを 引きずっているということで、 それが彼女を違うところで 苦しめているというのもあったかもしれない。
しかしながら、彼女の歩みは一進一退ではあったけれども、 確実に前に進んでいった。
彼女が自覚している以上に、 彼女は普通の女の子に戻っていった。
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