fleur bleue
sora



 Christmas Eve in the dark

『愛がほしいよ』
暗闇の中で、
何度もそう叫び続けた。

街はクリスマス・イブ。
煌びやかなイルミネーションの光が、
二人を照らす。

恋人たちは、
手をつないで幸せそうに笑っている。

そこでは、厳しい寒さも、
暖かさに変わっていった。

二人は、寄り添って歩いていた。
確かにそこにある幸せ、
かみしめるように。

ロマンチックな夜に、
二人は甘い、甘い夢をみる。

取り残された私は、
一人街を歩いていた。

冬の凍えるような寒さだけが、
私にとってのクリスマスだった。










一人きりの、クリスマス・イブ。










光り輝く夜を、
漆黒の闇で覆う、
深い孤独の陰。

寒空の下、
歩道橋の上から、
街を眺めていた。

イルミネーションの美しさに心奪われ、
しばらくの間、
立ち尽くしていた。

街行く恋人たちを羨んで、
恋に落ちた二人を、
ずっと遠い目で追っていた。

いつの日か、
私もまばゆい光で照らしてほしい。

でも、傷つくことに臆病な私には、
想いを寄せる人さえみつからなくて、
哀しい未来の予感だけが、
いつも頭をよぎっていた。

運命の人には、
一生めぐり逢えない気がしてた。

2005年12月18日(日)
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