おうち鑑賞

2010年09月11日(土) 『ミルク』 『デッドマン・ウォーキング』


『ミルク』Milk 2008年 ガス・ヴァン・サント監督


自らゲイであることを公表し同性愛者差別撤廃の活動家

ハーヴェイ・ミルクという人の生涯を描いた伝記映画なのだそうだ。

自由の国アメリカが抱える闇の一端を見た思いがした。

すごく意義深いテーマを掘り下げて描いた作品だと思う。

だからこそ踏み絵を踏むような気持ちで言うのだが

テーマの重心が主義、主張に偏っていることから

見ている側は逃げ場がないような気分になる。

絶対的に肯定されるべき作品ではあるけれど

何の迷いもなく潤いのある感情に抱かれたと言い切れる

見後感ではなかったと思う。

この作品はドキュメンタリーではなく映画だ。

感情が感動が人を動かすのではないか。






『デッドマン・ウォーキング』Dead Man Walking 1995年 ティム・ロビンス監督



死刑肯定論者、死刑廃止論者双方の視点から描かれているとは思う。

しかし、作品自体(製作者は)死刑廃止の視点で描いた作品だと思われる。

デリケートな問題がテーマの場合、中立の立場で描いているように見えて

実は片方の思想に重心があることに観客が気付いてしまうと

観客は反発の感情を抱いてしまうのではないか。

限りなく双方の立場から描いているとは思うが

とくに死刑制度肯定論者(あるいはグレーゾーンな解釈の人たちにとって)

釈然としない思いは残ると思う。

製作者の視点があるのは当然だ。死刑制度肯定、死刑制度否定、

どちらの考え方を持つかは個人のアイデンティティに左右されると思う。

このようなテーマの場合、製作者は徹底して中立の表現を計算して描くことで

かえって観客により多くのことを考えさせることができたのではないかと思う。



『ショーシャンクの空に』に俳優として出演していた

ティム・ロビンスが監督だったんだ。後から知ってびっくり。

スーザン・サランドンとは長年に渡りパートナーの関係だっととのこと。

それも後から知ってびっくり。








 < 過去  INDEX  未来 >


Barbara [MAIL] [バイオトープの庭]

My追加