2010年10月16日(土) |
『名もなく貧しく美しく』 |
『名もなく貧しく美しく』1961年 松山善三脚本・監督
見たいと思っていた矢先NHK-BSで放送されたので録画して見る。
冒頭「不適切と思われる表現がありますが、作品の意図を尊重し
最小限の訂正?にとどめ放送します」みたいな但し書きがあった通り
ろうあの登場人物たちへの差別の表現がある意味直接的だった。
現在の作品はもっと配慮された(本当の配慮とは何かという疑問はあるが)
言い回しや行動で表現されている。
どちらが人間の本質を突いているかという見方もある一方、
やはり、現在と差別のハードルの高さの違いを感じた。
徐々にではあると思うが、障がいはその人の個性という考え方が
約50年前と比べれば、出来てきているのではないだろうか。
そういう価値感の視点から言えば、普遍性がある作品とは言い切れないが
登場人物のキャラクターや物語が丁寧に紡がれていて、よい映画だと思う。
(もしこの日記を目にする人がいたらネタバレになって申し訳ない。下記記述内容注意。)
ただちょっと疑問に思ったのがラストシーンだ。
高峰秀子演じるろうあ者の秋子が車(トラック?)に轢かれて亡くなってしまうという結末。
登場人物たちの困難な人生、そしてその困難を乗り越える人生を見てきた。
物語として十分清算されていると思う。
そこへ、秋子に対するダメ押しのようなラストは必要だったのだろうかと疑問に思う。
自分的には意味をなしてないように感じた。
その辺の検証を意識して時間を置いて再見してみたいと思う。
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