2010年10月17日(日) |
『ミリオンダラー・ベイビー』 |
『ミリオンダラー・ベイビー』Million Dollar Baby 2004年 クリント・イーストウッド監督
『ミスティック・リバー』の釈然としない気持ちから
クリント・イーストウッド監督作品を再確認したくなって再見する。
『ミリオンダラー・ベイビー』はずいぶん前に見て胸打たれた記憶がある。
初見の時は、このラストに向かうための長い道程(前半〜中盤)があったのだと
胸に熱いものがこみ上げきた。
しかし今回再見して、登場人物の背景、キャラクター、
人生が丁寧に描かれていて確かに物語に引き込まれはするのだが
初見の時より、発端部〜中盤の物語の在り方が軽いと感じた。
たぶんクリント・イーストウッドが
(言い方が良くないけど)いい所取りみたいなポジション
(あるいはナルシスト的)に見えてしまう所も一因のように思う。
そしてダメ押しのようにラストに突きつけられた尊厳死の場面。
クリント・イーストウッド演じるトレーナーのフランキーの行為に
すごく違和感を感じてしまった。尊厳死に対する是非を問うというより
この重い選択につながるまでの、説得力が足りなかったか
あるいは「感動的」にすら感じさせられてしまうことへの違和感か。
どちらにせよクリント・イーストウッド監督作品は、問題提起を受けたというより
ナルシスト的なものを傍観させられる感覚に陥る、気持ちの悪さが後味に残る。
ハリウッドスターのプライドなのだろうか?
若々しい役を演じている老齢のスターを見ると痛々しい気持ちになる。
(ロバート・デ・ニーロあなたさえもか、と思った。)
その点、クリント・イーストウッドの実年齢と向き合った老いを隠さない姿勢は
毅然としていてカッコイイ。それはクリント・イーストウッド監督作品共通して思うこと。
作品的に感じることは、個人的な相性の問題もあるんだろうか。
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