『キンキーブーツ』 2005年/米=英 ジュリアン・ジャロルド監督
レビューを見て結構好評価が多くあったことが意外だった。
箸にも棒にもかからない類ではないかもしれないが
佳作の映画と思わなかったからだ。
この映画の「芯」がどこにあるのかよくわからない。
父親の後を継いで靴会社の社長になったチャーリーのストーリーと
ドラッグ・クイーン、ローラのストーリーが融合していない。
誰の物語なのか? 誰と誰の物語なのか?
中途半端な視点が複数存在して、それぞれがピンボケなペイ。
登場人物たちの行動のきっかけが胸に響いてこない。
チャーリーの婚約者や婚約者に取って代わる
ロマンス的サポートキャラクターのローレンらの
伏線などが、胸に響いてくるような機能をしていない。
つまり、全然登場人物のキャラクターの掘り下げがない。
ドラッグ・クイーンということで当然のように
『プリシラ』を思い出したが、『プリシラ』があまりにも秀作なので
この作品に対して『プリシラ』を思い出してしまうことすら抵抗を感じてしまった。
監督やライターはこの作品にどういう思いを持って製作したのか?
技術がどうのというより、思いの在り方が浅いんだと思う。
浅いのに深そうな格好がついてるから、拒否反応が起こってしまうのだと思う。
演出?構成?によってもっと良い作品になり得ると思う。
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