2011年05月04日(水) |
『トウキョウソナタ』 |
『トウキョウソナタ』Tokyo Sonata 2008年/日=オランダ=香港 黒沢 清監督
中盤ちょっと過ぎまでは、作品のトーンも素敵だと思ったし
家族関係がどのように変化していくのか引き込まれて見ていたけど
役所広司演じる強盗が佐々木家の主婦を演じる小泉今日子を拉致する
シーンの登場で一変、すごく違和感を覚えた。
この映画の主題から分離しているように感じる。
登場人物のキャラクターが、一見描きこまれているように見えるがイマイチ深くない。
邦画にありがちな、よくわからない観念描写というか
煙に巻いたような描写も好きじゃないところだ。
小泉今日子は好感の持てるタレントさんだが
出演している作品を見て例外なく思うのは、
その人物にキャラクターを感じないということだ。
演技派っぽくは見えるんだけど、その人物の背景が全然想像できない。
小奇麗なアラフォーである程度の演技力もあって・・・という
俳優の人材不足もあって登用される機会が多くなってしまう(?)のではないか。
小泉今日子の魅力を最大限に生かす設定は別にあると思う。
映像や美術に対しては佳作だと思えるけど
作品自体に対しては、佳作だとハッキリ言い切れないモヤモヤ感がある。
あのラストに集約されるためには、それぞれのベクトルに
密度と、散漫に見えて実はラストをとらまえているという方向性を感じたかった。
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