2006年02月21日(火) |
シドの回想 ―――2――― |
すっごい緊張した。でもお母さん面白いね、あんなこと訊いてくるなんて……
悪かったな。あいつほんと普通じゃねえよ。よく言っとくから
全然いいよ。気にしてないし……楽しかった。──三四には見えないね、十歳は若く見える。サジがベタ惚れするのも理解できるよ。お姉さんは?
母親そっくり。性格換えただけって感じ──クソ真面目なんだ
それってシドが不真面目なだけでしょ。お母さん似ならお姉さんも綺麗だね。お父さんは、どうなの?
俺は親父似だぜ
じゃあいいや
どういう意味だよそれ!?まあいいか。それよりさ、何でヒトミは学校いる時は髪束ねてて、遊ぶ時は垂らしてるんだ?
学校で垂らしてると授業中にノートとる時とか邪魔なの。だから束ねてるだけだよ。どっちが魅力的?
どっちもどっち
何それ?そんなもんなんだ?
そう、そんなもん
もー、怒るよ。どうなの?
──垂らしてる方かな。学校で見てる方がどうしても多いから……。こっちの方が新鮮味がある
そう、じゃあこれからずっと垂らしててあげる。だからってわけじゃないけど、約束してほしいことがあるの
何だよ?急に……
煙草とお酒は程々でいいけど、喧嘩は絶対にしないでほしいの。何かサジとシンちゃんとリョーちゃんに喧嘩の仕方とか教わってるらしいけど、シドにもしものことがあったら私──
用心のためだ。むやみに人を傷つけたりはしない。好きじゃないし。ただ、お前にとばっちりみたいなことがありそうな時は、な……
当然。徹底的にね、頼んだよ
お前はそういう奴?
──さて、話を変えて、将来の話を少ししよう。卒業したらどうするの?高校は行くの?
まだわかんねえよ。でも前にちょっとだけ先の話をしたけど、多分高校へは行かないと思う。進学してまでやりたいことがない。ただの暇潰しで三年間を過ごすんなら、もっと濃くて意味のある時間を過ごしたい
そっか……。でもよく考えなきゃだめだよ。慎重にね、慎重に。私はとりあえず高校出て家を継ごうと思ってるんだ。ほら、うちこっちに新しく建てたでしょ。狙いはね、私を将来女将にするつもりらしいんだ。私もそれは昔から興味があったっていうか、女将やってるお母さんに憧れてたところがあったから……多分そうなると思う。そしたらただで泊めてあげるね
コンパニオンは一人に何人つけてくれるんだ?
よく聞こえなかった。もう一回言って
だからコンパニオンは──痛てっ……!
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