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あまりにも華の愛撫に慣れていたのか。 それとも、華がスペシャルなのか。 どっちとも判断が付かない秋の夜長。 眠れぬ夜の独り遊びは、いつもちょっと情けない。 でも、もう十年ぐらいの癖。 オンナノコは性欲ないなんて思われるのが心外なあたしは、男を知る前から、そうして遊んできた。 それがこのカラダを作り上げた要因の一つでもあるけれど。 華が必要以上に虐めたがる、このカラダを。 手慣れた自分の愛撫が物足りない。 もっと違う何かが欲しい。 これを渇望というのかしら。 でも、華が欲しいが思う反面で、きっと、あたしはどんな相手にも感じるのだと分かっている。 そういう風に出来ている。 華が少し寂しそうに、 「誰にだって、そうやって、鳴いてやれるんだよね?」 呟いていたのを、あたしはまだ、覚えているもの。 あたしは小さく頷いただけだった。 一人がいなければ気安いあたしの遊び方は、昔の華と良く似ている。 けれど、一人が出来てしまうと、絞り込んでしまうのが、あたしの性格。 もうきっと、華以外と寝ることはない、と言い切れるのに。 どうして、あんなに悲しい顔をさせてしまったんだろう。 秋の夜長に自身を慰めながら、あたしは、悲しくなっていた。 もう華の愛撫じゃなければ、感じなくなっていればいいのに。 試す術がないから、証明も出来ない。 気を取り直さなきゃ。 あたしは、こういう生き物だ。 そう言えば、来週の華との約束。 あたしは左の胸に。 華は左の腕に。 モチーフは違うけど、対になるようなもので。 一生、あなたを愛するしるしをいれるの。
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