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火曜の逢い引きが中止になった。 …………いいケドさ。 向こうの同居人が、最近帰りが早いらしく、会いに行っても10分ぐらいで帰る羽目になりそうなので、止めただけ。 怒ってないよ。 でも、気にしてないと言ったら嘘になる。 以前よりも、ジリジリとする苛立ちは消えたけれど。 あなたのことが、とてもとても好きなんだけど、「待っていて欲しい」と明確に言われたことで、抜け落ちたものもあった。 情熱というもの、かな。 たぶん、そういう感情。 胸の奥を痛めるような焦燥感が、少しずつ消えていった。 これは、良いことなのか、悪いことなのか。 成長したというのなら、良いことなのかもしれない。 胸の蝶にかさぶたができ始めている。 これがつるりと剥ける頃、黒蝶は羽化をする。 あたしの胸に刻んだ、25歳の自分自身。 この時間を決して忘れないための、深い傷痕。 この先、どんなに幸福でも、不幸でも、この時間があたしに与えてくれたものを忘れないため。 傲慢な自分への戒め。 孤独癖のある自分への慰め。 華、あなたの肩に刻まれるしるしは、何のためなの? 聞きたい。 聞けない。 水曜日の、華の彫りの日には同行できそうな雰囲気。 木曜日は、二人で出かける。 お願いだよ、華。 あたしの嫌いな冬が来る前に、ちゃんと温めて。
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