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なるべく触らないようにしていたの。 出来るだけキスもしないように。 それは華に限るけれど。 何もしない、セックスはナシ。 繰り返しながら、あたしに触れる手。 キスを拒んで首を振り続けても、捕らえられて、食いつかれる。 キャミソールの下から滑り込んできた熱い掌は、ゆっくり腰を撫で回す。 喉元、首筋、鎖骨。歯形が刻まれる。 華は耳元近くで繰り返す。 「セックスはしないから」 どうして、なんて聞き返す余裕はあたしにはなくて。でも、本当に最後までしないことも分かっているから。 とうとうキレた。あたしが。 「帰る」と言い出した途端に、打ち捨てられた子犬みたいな顔をして、俯いて。今度は「ごめん」と繰り返す華。 ねぇ、そこで膝を抱えて凹んでいるんなら、さっさとあたしを抱いてみせれば? セックスしないって言ったのも、聞いてみたら、特に理由なんかもなかったみたいで、頭が痛くなる。あたしの我慢は何だったわけ? もう最近、ずいぶんとちゃんとしてない気がするんだけど。 セックスレスが理由で離婚したあたしのことを、あなたは誰よりも分かっていたんじゃないの? あの時、誰よりもあたしの話を聞いていたんじゃないの? その上、華ときたら、 「しないって言った手前、したいとは言えなくて」 なんてしょんぼりと言うものだから。 本当に、この子はバカじゃないかと思ってしまった。 下らないけんかだよね。 分かってる。 空回っちゃっただけだよね、お互いが。 けんかの時には、いつもあたしの方が強い。 あたしが、口ごもる華の言葉を引きずり出す。 だから、今日も結局は、あたしが苦労をするんだよ。 言いたくもないことを言って。 聞きたくもない言葉を聞いて。 最終的には、抱きしめてあげるんだ。 でも、泣いている状態で相手をするのも、何となく不思議で。 あたしの中のサディスティックな部分に、少し火がついたのも事実。 華。分かってるの、華。 あたしが怒ることはあるけれど。 結論としてね、あなたは、何があってもあたしに愛されていることに確信を持っていて。それだけは揺らいだりしないで。 いつか、あたしがあなたのそばを離れるようなことがあっても。 変わらず愛しているのだと、あたしには分かっているんだから。 こんなに愛した人を、憎めるはずもないんだよ。 それだけは、一生変わらないことなんだ。 華。 あたしが、世界で一番愛している、大事なあなた。
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