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お別れをしてから一週間とちょっと。 その間に、華に無理矢理抱かれたりとか。 キスされたりとか、触られたりとか。 拒絶したいのにできないのは、あたしがまだあなたを好きでいるからで。 それがしんどいから、今日、距離を置こうと話をした。 華はあたしに優しい。 全てを許してる。 それが、あたしには辛い。 優しいのは嬉しい。でも、怖いから優しくしてくれる。 あたしが怒るのが、泣くのが、壊れるのが、 怖いから。 さんざん泣いて、泣いて、別れることを承諾させて。 でも華はあたしのそばにいたいと言った。 あたしは、そばにいれば拒絶できない自分を知っているから。 電話口で、華を責めた。 冷たい言葉と冷たい声で。 あたしは誰にだって足を開くのだと。 あなたにそれを責める権利はないのだと。 そんなことを繰り返した。 華は泣いて、縋るような声を出していたけど、 あたしの言葉に、ようやくキレた。 我が儘だと言われた。 ずっと我慢してきた。 あたしを壊すのが嫌だから、プライドも押し殺して、 何もかもを飲み込んできたのだと、 ようやく口にした。 対等に、なった。 あたしはきっと、酷いことを言い返されているのに、 嬉しくて、泣いた。 華が何かを押し殺して、あたしのために演技をしていることを感じていたから。 優しくすることで、あたしの我が儘を許し、許容し、 幸福を願うことで、 自分の何かを犠牲にしていたことを、知っていたから。 対等になった。 あたしが遠く離れても、幸せでいるのならいいなんて、 嘘くさい優しさをかなぐり捨てて、 華が怒る。 「こんなにも好きになった相手が他の奴に抱かれるなんて、そんなの耐えられるか。他の奴を好きになるなんて、そんなの許せるか。そんなの認められないから、絶対に許さない」 強がるなんて許さない。 あなたにはそんなことを許さない。 泣いて喚くあなたを抱きしめながら、あたしは。 あたしはいつだって、自分の傲慢さを思い知っていた。 この子が離れていく日が来たら、 あたしは自分を壊してでも引き止める、ってこと。 もう何を話したか、朧になるほど長く話をしたけど、 ねぇ、華。 あなたが好きだよ。 大好きだよ。 あなたが誰かを愛するなんて、あたしは絶対に許さないよ。 遠く離れたとしても、大きな傷跡を残してから行くよ。 一生ものの傷跡にするよ。 「もう一度付き合って」 「いや」 「そんなの知らない。もう一度付き合う」 「いやだ」 そんな押し問答を繰り返して、あたしたちは。 恋人ごっこのような日々を、やり直すの。 あたしがいつ、OKを出すかなんてわからない。 あなたを見極めない限りはわからない。 もしかしたら、そのまま突き放すかも知れない。 わからないけど。 デートの約束は嬉しい。 あたしはそんな些細なことも嬉しい。 何があったかと、言葉で説明するのは難しい。
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