![]() |
![]() |
夜になると思い出す。 小さな生き物の気配に、どれだけ救われていたか。 触れないでいるゲージ。 被せてもらったショール。 手を、付けなきゃ。次の休みに、華がいる時に。 落ち込んでいるかと言われれば、それほどでもないと答えられる。 笑って冗談を言っている自分に少し驚く。 あたし、大丈夫かも。 でも、不意に思い出す。 小さな小さな体温。 あたしは必死に華に縋り付いて、それを胸の中に留めようと足掻く。 華。ねぇ、華。 あたしはたぶん大丈夫だよ。 あの子がいなくなって、思い出すだけで、目頭が熱くなるけど。 あなたが長生きしてくれるんだよね。 一緒に覚えててくれるんだよね。 そんな優しい約束に、どれだけ救われているか。 あなたは知ってるのかな。
|
![]() |
![]() |