冬の寒さに、爪先が凍る。 ひとりでは体温すら下がり続ける、夜。 バレンタイン前の喧嘩の後日。 つまりはバレンタインの翌日だったわけだけれど。 華とフープのピアスを買いに出かけた。 一目惚れしたバッグとか買ってしまったけど、本命はピアス。 シルバーショップを何軒も巡って、最後に見つけた。 一つはあたしの趣味、割とシンプルな彫りが入ったもの。 もう一つは華の趣味、ドラゴンの形に掘られたもの。 もちろん華が買ってくれました。 正直、それだけで充分すぎるんだけど、 華が会計をしている時に見つけてしまった、ペンダントに釘付けになっちゃって。 細い足をした蜘蛛の形。親指の第一関節程度の大きさ。 華の肩に住んでいる蜘蛛と、似てた。 あたしは思わず華を呼び寄せて、それを伝える。 立体的な蜘蛛の形をしたトップなんて珍しいから、 華は少し考えてから、 (きっとあたしの様子を盗み見してたんじゃないかと思うけど) それを手に取った。 やっぱり、肩にいる蜘蛛と似てる。 結局、チェーンの形が気に食わないので、 それを直してもらうということで、お買い上げ。 あたしといると散財するよね、華サン。 というか、散財させちゃうよね……。 出来るだけ付けておくように心掛けて、 あたしはそのペンダントをもらった。 あたしの左胸の蝶を食うように、今も揺れている。 努力します。
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