2006年12月20日(水) |
アート引越しセンターと歯科医院の名づけ方 |
最近、うちの歯科医院のホームページを作ろうと他の歯科医院のホームページを見ているのですが、いくつもの歯科医院のホームページの中に歯科医院の名前がユニークなものが少なからず見られました。
歯科医院の名前といえば、歯科医院の開設者である先生の名字を冠した歯科医院であることを想像される方が多いのではないでしょうか? 歯科医院の院長の名字が○○ならば、“○○歯科医院”とか“○○歯科”、“○○歯科クリニック”というような感じです。ところが、どう考えても歯科医院の院長の名字とは思えない名前を冠した歯科医院が少なからず存在するのです。動物や何かのマスコット、アニメのキャラクターのような名前を冠した歯科医院や一見すると歯科医院とは思えないような外国語風の歯科医院名などがあるのです。
実は、歯科医院の開設に関しては各地区の健康福祉事務所へ開設届書と呼ばれる書類を提出し、審査を受け許可をえなければなりません。開設届書の中には開設場所、住所、開設年月日、診療曜日、診療時間、開設者の名前と共に歯科医院の名称も記載する必要があるのです。これらは医療法に基づいて定められているのですが、歯科医院の名称に関して医療法では特別な規定はありません。基本的に自由に歯科医院の名称をつけることができるのです。 おもしろいことに、各都道府県によって歯科医院の名称の付け方には若干の違いがあるようです。比較的自由に歯科医院の名前をつけてもよい都道府県もあれば、なるべく歯科医院の開設者の名字を関した歯科医院名をつけるような指導をする都道府県もあるようです。僕の診療所のある県では、地元の地区名を冠した歯科医院名は避けるように指導があります。例えば、東京という地区で歯科医院を開業するような場合、東京歯科医院という名の歯科医院名称には許可しないというような感じです。
地域によって若干の差はあるものの、歯科医院の名称に法的な縛りがないのは確かなことです。おそらく、これから歯科医院の名称は益々ユニークな名前を冠した歯科医院名が次々と出てくることでしょう。現在、日本全国に68000以上の歯科医院があります。もはやコンビニの数をはるかに凌駕する数の歯科医院が乱立し、しかも今後着実に増えます。新規に開業する歯科医院に少しでも多くの患者を惹きつける方策の一つとして、ユニークな名前の歯科医院名が次々と生まれてくるのは間違いないことだと思います。
閑話休題、アート引越しセンターという引越し運送会社がありますが、このアート引越しセンターの名称由来はユニークなもののようです。何でも職業別電話帳のトップに記されるように敢えてア行で始まる名称を考えたのだとか。何せ“アート(ああと)”ですから。かつて、引越しを予定している人が引越し運送会社を選ぶ際、職業別電話帳を調べて選ぶ時代があったのですが、そんな人々に少しでも目に触れやすいように会社の名称を“アート”に変えたのだとか。 歯科医院の名称にもアート引越しセンターのように敢えてア行の名称をつけた歯科医院もあります。敢えて名前は挙げませんが、“ア○○歯科医院”なんて名前は職業別電話帳の記載順番を意識して名づけられたのだそうです。
ちなみに、うちの歯科医院も僕の本名の名字を冠した歯科医院ではありません。ちょっと変わった名前の歯科医院名なのです。今から30年以上前、親父が歯科医院を開業する際、ある特殊な事情があったため本名の名字を関した歯科医院名をつけることができなかったのです。そのため、風変わりな名前の歯科医院名にしたのですが、当時は今ほどユニークな名称の歯科医院名が多くなかったため、なかなか許可が得られず苦労をしたのだとか。何度も事情を説明して何とか開設届書を受理してもらったのだそうです。 うちの歯科医院は昨今のユニークな歯科医院名のさきがけ的な存在かもしれません。
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