2006年12月21日(木) |
あなたの手のぬくもりを感じていたい |
昨日ネットサーフィンをしているとこのような記事を目にしました。 アメリカの研究者によれば、幸せな結婚をしている女性が、ストレスを感じた際に夫の手を握ると、ストレスが即座に解消されることが、脳のスキャンではっきりと示されるとのこと。研究者の一人で神経科学を専門とするバージニア大のジェームズ・コーン博士らによると、夫の手を握るという行為が女性のストレスの程度に与える影響の大きさに驚いたとのこと。 この記事ですが、僕も大いに思い当たることがあります。
我が家では、深夜チビたちが寝静まった束の間の時間帯が夫婦の時間となります。お互いにテレビを見たり、新聞や雑誌を読み、時折会話をしながら過ごすのですが、そのうちどちらともなく手を触るのが常です。
「そうさん、ハイ。」 と言いながら手を差し出す嫁さん。
「仕方がないなあ」と言いながら嫁さんの手の指をさするのです。手を指をさするだけでなく、指を回したり、手のひらや甲を揉んだり握ったりしているうちにいつの間にか嫁さんも僕もうつつ状態に陥る。 これが気持ちいいんです。 我々夫婦の間でこの習慣がいつから始まったのかは定かではありませんが、おそらく僕の方から始めたではないかと勝手に思っています。
これまで何度も書いたことですが、幼少の頃、僕の家族は大家族でした。同じ屋根の下に祖祖母、祖父、祖母、父、母、叔父、僕と弟と8人家族だったのです。そんな大家族の中で僕はおばあちゃん子でした。 二つ下の弟が生まれ、母が弟の子育てに追われている時、僕は祖母になつき、祖母と祖父の部屋に一緒に寝ていたのです。 幼少の僕が布団に入り、眠ろうとした時、祖母が必ずしてくれていたことがありました。それが足と手の指の指回しでした。東洋医学をかじっていた祖母は、自分のみならず孫の僕に毎晩のように足と手の指を回してくれていたのです。眠る前に興奮していても、祖母が足と手の指を回してくれていると、いつの間にか気分が落ち着き、気が付かないうちに眠りに入る。当時のことは今でも鮮明に覚えています。何か気持ちよい気分に満たされたような状態になり、いつの間にか瞼が重たくなるような感覚といったらいいでしょうか。今から思えば、祖母は毎晩僕の足と手の指を回し続けてくれていたものです。
時は経過して今。僕はこのことをチビにしてすることがあります。いつもは嫁さんと一緒に眠るチビたちですが、どうしても眠ることができない時、嫁さんと僕が交代し、チビの手や足の指を回すのです。回すだけでなく、手を摩ったり、軽く握ったり、揉んだりします。チビたちの体温を感じながら。最初、何だか恥ずかしそうにしていたチビの表情が段々と緊張が取れ、微笑むようにして寝息を立てていきます。僕もこのような感じで寝息を立てていたのかもしれない。僕が幼少の頃の祖母は気持ちよく寝息を立てる僕を見ていとおしく感じていたのかもしれません。
幼少の頃の僕の手と足の指を回してくれていた祖母は、現在痴呆が進み寝たきりで在宅介護を受けている状態です。叔父の家の一室のベットの上で寝たきりになっているのですが、僕も時折祖母のもとを訪れます。 小春日和だった先日、僕が祖母を訪ねると、祖母は起きているようでした。僕は、
「おばあちゃん、元気か?」 と言いながら、手と足の指を回したり摩りました。ちょうど僕が幼少の頃祖母にしてもらったことを僕が祖母にしているのです。痴呆が進んだ祖母ですが、僕が手や足の指を回したり、手の平、手の甲を摩っているうちに段々と目がうつろになり寝息を立てていきます。いつもは寝息を立てるのを確認してから部屋を後にするのですが、先日はなぜか目頭が熱くなり、涙が止まりませんでした。 誰でも年を取ると涙腺が緩くなるといいます。40歳になった僕も年を取ったかなあと思いながら、持っていたハンカチで涙を拭き、部屋を後にした歯医者そうさんでした。
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