2007年01月06日(土) |
歯科医一家死体切断事件で感じたこと |
既に皆さんもご存知のことと思いますが、東京の渋谷の歯科医院兼自宅において女子大生の遺体が見つかった事件で、女子大生の兄である21歳の予備校生が逮捕されたという悲惨な事件が起こりました。
この事件ですが、まず僕が感じるのは、今回の事件の報じられ方です。各マスコミでは歯科医一家の事件という話題性、正月明けで事件が少ないということもあり大きく報じています。一見すると幸せに見えた裕福な歯科医一家に突然襲った殺人事件。被害者が歯科医一家の長女、加害者が歯科医一家の次男。格好のワイドショーネタになっても不思議ではありません。その裏にはどうみても歯医者に対する野次馬的な見方があるように思えます。日頃のねたみ、ひがみの裏返しのような報道のされ方されているように思えてならないのです。 確かに、今回のような事件に兄が妹を殺す、しかも、死体をバラバラにしてしまうまでの悲惨な事件は特異な事件といえるでしょう。それが歯科医一家で起こったわけですから話題性には富んだ内容になるかもしれませんが、これは何も歯科医一家に限った話ではなく、どんな家庭でも起こりうる話であることを僕は強調しておきたいと思います。
さて、事件そのものについてですが、僕はこのような悲惨な結果になる前に家族の誰かが、父親や母親、長男の誰かが何らかの手が打てなかったのかと思います。今回の事件の背景に一体どんな事情、背景があったのか、詳細はわかりませんが、おそらく、このような事態になるまでに家庭内では何度も何らかの救いを求めるシグナル、警告を発するシグナルがあったはずです。そのシグナルを結果的に無視してしまった。もしくは、知っていたとしても有効な手立てを打てなかったのは明らかです。 おそらく、兄と妹の確執は、昨日今日の問題ではありません。かなりの長期間にわたり作り上げられてきた確執でしょう。その背景には、二人の育ってきた家庭環境が影響しているのは間違いないことだと思われます。結果的に歯科医一家は、被害者の家族であり、加害者の家族という、取り返しのつかない事態となってしまったことに非常に残念でなりません。
少なくとも、次男は長女に対し取り返しのつかないことを犯してしまいました。次男は長女だけではなく、父親や母親、兄に対し、今後、殺人者の家族というレッテルを張っていかざるをえなくしてしまいました。これほどの親不孝があるでしょうか? おそらく、今回事件があった自宅兼用の歯科医院は、経営が成り立たなくなるでしょう。誰も殺人が行われた歯科医院を好んで受診したがる患者さんはいないからです。悪い評判はあっという間に広がるもの。しかも、今回はマスコミがこぞって大きく報じました。患者さんの多くはこの歯科医院を敬遠せざるをえないでしょう。長年地域医療に貢献してきた歯科医院は廃院せざるをえない運命かもしれません。
どうして、このようなことになる前に何とかならなかったのか?同じ歯医者一家を持つ身として、僕はただ無念でなりません。
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