| 2007年01月31日(水) |
楽しく話しながら食べられたらなあ |
学生時代のちょうど今頃のことでした。僕は男女の友人ら何人かである温泉地へ旅行に行ったことがあります。普段から仲の良い仲間同士でしたから、行きの電車の中では朝から酒を飲みながらの宴会気分。 お互い“今からこんなにハイテンションで大丈夫か?”と言いながらも、しゃべりっぱなしで目的地へ。 目的地で口にしたのがカニ料理のフルコースでした。カニの刺身から焼きカニに至るまでこれでもかというくらいのカニ料理だったのですが、どの料理も美味しいもので皆夢中で食べていたのです。そのような中、この旅行を企画した幹事の一人曰く
「ついさっきまでしゃべりっぱなしのみんなが一斉に黙っている!」
そうすると、仲間の一人が
「美味しい料理を食べていると時って黙ってしまうよね。人間に口が二つあれば、しゃべりながら食べることは可能なのだろうけど、残念なことに口は一つしかないからなあ。」
このようなことは誰しも経験があるのではないでしょうか?カニに関わらずなんでも美味しい料理を口にする時、思わず話すことを忘れて料理の味を堪能してしまう経験は誰でもあると思うのです。
ところで、僕は一緒に食事をした人から
「そうさん、少食だね」と言われます。その理由は、僕が普段から食べる食事量が少ないということもありますが、それ以上に話をしながら食べることが苦手だからです。僕は何かを同時に行うことが苦手な性質なのですが、中でも、食事と一緒に話をすることが大の苦手なのです。 しばしば気心の知れた人と食事をしながら話をする機会はあるのですが、そんな時は食事を楽しむよりはお互いの会話を楽しみたい気持ちの方が強いのです。そうすると、会話の方に気が取られてしまい、箸の手が止まってしまうのです。もし、食事の方をメインにすると食事に集中してしまい、何も話をしなくなってしまいます。せっかく気心の知れた人と話をする機会なのに黙り込んでいては何も意味がありません。ただでさえ、美味しいものを食べていると食が細るのに、話をしながらの食事苦手であるために、僕は少食にならざるをえないのです。
こんな僕ですから、普段の家での食事は寡黙なことが多いです。嫁さんや子供が話すのを聞きながら食事をしてしまうのですね。これはあまり褒められたことではないなあと思っているのですが、限られた時間の中で食事をしてしまおうとするとついつい無口になってしまいます。 おそらく、僕は食事つきの会議なんてものは苦手だろうと思います。ビジネスの世界では朝食や昼食を共にしながらビジネスの話をする機会があると聞いていますが、僕が当事者であれば、ほとんど出された食事は口にすることができないであろうと思います。話をしながら食事ができる人がうらやましく思います。
そんなことを思っていると、ある雑誌に3人の作家と漫画家、芸能人による対談が掲載されていました。その中で取り上げられていた作家の一人が13年前に亡くなった作家の吉行淳之介氏の思い出でした。 取り立ててイケメンというわけではない吉行淳之介氏の周囲にはいつも女性が寄ってきた。彼の醸し出すダンディズムに当時の多くの女性が魅了され、つい近づきたくなるものを持っていたという話が中心だったのですが、その中で ある漫画家がこんなことを語っていました。
「吉行さんは健啖家でした。吉行さんは長年にわたって週刊誌に対談コーナーを連載し「座談の名手」としても知られた人ですね。普通、対談をしているとホスト役の人っていうのは、インタビューをする方ですからどうしても食が細くなるものです。けれども、吉行さんはホストをしていても“一体いつ食べたのだろう?”と思うくらい、出された食事は皆平らげていましたね。あんなことができたのは吉行さんぐらいでしたよ。」
美味しく食べながら会話を楽しむことができた吉行淳之介氏。どうやったらそのような器用なことができるのか?もし、今も活躍されているならば、是非教えを請いたいものです。
そうそう、吉行淳之介氏にはどうしたら女性にもてるのかということも尋ねてみたかったですねえ・・・。
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