歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年11月05日(水) キシリトール長者

先日、キシリトールについて調べることがあり、いろいろと調べていました。その際、感じたことのですが、一体どれくらいのキシリトール入り製品が出ているのか気になりました。昨今、キシリトールを含んだガムやキャンディーがコンビニやスーパーの店頭で並ぶことが多くなっていますが、どれくらいのキシリトール入り製品が店頭に並んでいるのでしょう?近所のスーパーで並んでいたキシリトール入り製品を買ってみました。



これはスーパーに並んでいたキシリトール入り製品の一部です。実際に近所のスーパーで並んでいたキシリトール入り製品の種類は更に多かったですが、これで2200円分のキシリトール入り製品です。購入したキシリトール入り製品はレジに持って行き、精算してもらい支払ったのですが、レジのおばさんが奇異な目で僕を見ていたのを僕は見逃しませんでした・・・。

それはともかく、よく耳にするキシリトールですが、キシリトールとは一体どのようなものかご存知でしょうか?
キシリトールとは甘味料の一種です。元来、白樺やプラムなどに含まれているものです。第二次大戦中、北欧の国フィンランドでは砂糖不足が生じ、キシリトールが代替甘味料として使用されました。その後、キシリトールは点滴に用いる輸液や糖尿病食に用いる甘味料として使われていました。このキシリトールがむし歯予防に効果的ではないかということで研究がはじめられたのは、先に書いたフィンランドという国が最初でした。
第二次世界大戦で代替甘味料としてキシリトールを用いた歴史があったフィンランド。第二次世界大戦後は、国民の多くがむし歯で苦しんでいた時期がありました。何とかむし歯を減らし、むし歯を予防するようにしなければならない。
むし歯の原因は蔗糖やグルコースと言われている砂糖が原因であることは知られていました。そこで、この砂糖の代わりにむし歯予防の効果がある甘味料がないかということで白羽の矢が立ったのが、第二次世界大戦中で使用されていたキシリトールだったのです。

ところで、むし歯を作る原因菌であるむし歯菌(ミュータンス菌)は砂糖(蔗糖)が好物です。ミュータンス菌は口の中に入ってきた蔗糖を食べた後、乳酸という酸を出すのですが、この乳酸が歯に穴を開け、むし歯となります。  
一方、キシリトールはミュータンス菌が好まない甘味料である特徴があります。そこで、甘味料として蔗糖の代わりにキシリトールが口の中に入ると、ミュータンス菌はキシリトールを食べることができず生きていくことができません。結果的に、ミュータンス菌の数は減り、むし歯になりにくい環境になるというわけです。
また、キシリトール入り食品を噛み続けると、口の中にはたくさんの唾液が出てきます。唾液が口の中にあればあるほど、ミュータンス菌は歯にくっつきにくくなります。むし歯菌が出した乳酸も中和され、むし歯になりにくい環境になります。キシリトールがむし歯予防につながるのは、このような理由があるからなのです。

現在では、世界各国でむし歯予防用の甘味料として用いられるようになったキシリトール。日本でも1997(平成9)年に厚生労働省が安全な食品添加物として認可して以来、キシリトールを含んだ食品が数多く世に出るようになりました。
それでは、キシリトール入り食品を食べれば歯磨きをしなくてもいいか?という疑問もわいてくるかもしれません。口の中を清潔に保つためにはあくまでも歯磨きが最も大切です。歯に付着した汚れを歯磨きで取り除き、キシリトール入り食品を食べることでむし歯になりにくい環境を作る。キシリトール入り食品は、あくまでもむし歯予防の重要な脇役として考えて欲しいです。また、人によってはキシリトール入り食品をたくさん摂取するとお腹が緩くなる場合もありますので注意が必要です。

そんなわけでたくさん購入したキシリトール入り製品ですが、これを見た下のチビが目を輝かせながら言いました。

「すごい量のお菓子だね。何だかお金持ちになったみたいだよ。毎日キシリトールの入ったお菓子が食べられるなんて!」

そんなつもりでキシリトール入り食品を買ったわけではないのですけども・・・。
下のチビにとっては、多くのキシリトール入り食品を目の前にして、キシリトール長者になった気分だったかもしれません。


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