2008年11月07日(金) |
医療も首都東京主義? |
昨今、妊産婦の出産に関し、妊婦に異常が生じても対応できる医療機関に受け入れてもらえず、妊婦が亡くなるといったことが報道されています。以前からこの手の問題は全国各地で起こっていたはずなのですが、今回いろいろとマスコミで騒がれ、厚生労働省が重い腰を上げた背景の一つには、日本の人口の10分の1が集中し、日本国の首都である東京で問題が生じているということが大きな要因にあるのは間違いありません。
先日、僕は循環器内科医である愚弟と話をしていました。愚弟に今回の一連の妊産婦の死亡事件について話をしたところ、愚弟曰く 「世間では妊産婦の救急受入病院が不足しているとか、専門医師が足りないなんて騒いでいるけど、もっと深刻なのは僕ら循環器の世界だよ。特に、病院の循環器科と循環器内科医が全く足りない。近隣の病院を見てよ。○○病院も△△病院も循環器内科が廃止になったでしょ。来月には××病院の循環器内科も廃止になるよ。そうしたしわ寄せがどこにくるかというと、残されたわずかな循環器内科のある病院なんだよ。僕が勤めている病院もそうなんだよ。最近、この××病院の担当者から連絡があってね、自分たちの患者を受け入れてもらえないか?という相談だった。僕は断わったよ。なぜなら、うちの病院でも患者が多すぎてこれ以上受け入れることができないからなんだ。」
「世間では、産婦人科のことばかりが注目を浴びているけど、循環器科はそれ以上に大変だよ。循環器科というよりも病院の医療そのものが成り立たなくなっている。それが報じられていないのは、やはり東京でこの手の問題がクローズアップされていないからなんだろうなあ。」
日本の首都東京に様々な情報が集中しているのは仕方がないことだとは思いますが、既に関西では、病院が対応する循環器医療が成り立たなくなっているという事実。おそらく、多くの人はこの事実に気がついていないでしょう。関西は日本でも二番目の経済圏であるとは思うのですが、そんな場所でも病院における循環器医療が崩壊しつつあるという事実。
おそらく、病院の救命救急に関係する専門分野の医療は非常に多くの問題を抱え、成り立たなくなっているのは確実でしょう。今回、マスコミでは産婦人科の問題がクローズアップされているようですが、これは氷山の一角に過ぎないのです。それが、問題にされていないのは、東京で問題が表面化していないせいではないか?と思わざるをえないところがあります。 東京の影響力を改めて実感するとともに、東京が動かないと国が動かないという旧態依然とした状況を憂う、歯医者そうさんでした。
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