インターネットの世界では映像や音楽の配信は当たり前になってきています。インターネット黎明期には考えられなかったことですが、インターネットのブロードバンド化が進んだことによる恩恵であることは明白です。 ブロードバンド。僕にとってこのブロードバンドというのはまだはるか遠くにある世界です。なぜなら、うちの周囲ではブロードバンドによる通信環境にないからです。正直に書くと、僕のインターネット環境はISDNです。友人、知人は光ファイバーやADSLでインターネットを楽しんでいる中、僕は未だにISDNというナローバンドでしかインターネットをすることができません。それでは、僕の住んでいる市全体のインターネット環境はどうかといいますと、市内の大半の地区はブロードバンドなのです。ところが、市街地にあるうちの周囲はブロードバンドのサービスがありません。近隣の市もほとんどがブロードバンドが普及している中、半ば陸の孤島ならぬ陸のデジタルディバイドであるともいえるでしょう。
このような背景にはブロードバンドを提供する通信会社の思惑があるのは確実です。収益性の多い地区にブロードバンドの設備投資を行い、収益性の見込めない過疎の地域ではブロードバンドのサービスを提供しない。企業の論理からすれば当然のことかもしれませんが、今やインターネットは社会資本一種でもあります。住んでいる地区による差別があってはいけないと思うのですが、僕の住んでいる地区はブロードバンドの時代から取り残されたままです。
メールのやり取りや映像、音楽配信とは関係ないテキスト中心のサイトを見る分には今のインターネット環境でも問題ありません。僕は今のナローバンドでも仕方がないかもしれないと半ば諦め気味だったのですが、そうとも言っていられない状況が出てきました。それは、2年後に始まるレセプトオンライン化です。 レセプトとは、毎月保険組合に請求する診療報酬明細書のことですが、現在では患者さん一人の治療費に対して特定の書式の紙に印字して請求しています。いわゆる紙出しをしているわけですが、厚生労働省ではこの紙出しを止め、全て通信で送付する方法に変更するという通知を出しました。これがレセプトオンライン化なのですが、最近になってレセプトオンライン化に対する詳細がいくつかわかってきました。その一つがインターネット環境なのですが、どうもブロードバンドを前提にしていることがわかってきたのです。ナローバンドでも出来ないことはないそうですが、非常に時間がかかり業務に支障が出る可能性が指摘されているようで、医療機関はブロードバンドサービスを受けることを勧める情報が地元歯科医師会から流れてきました。 現在、ナローバンドしかインターネットが出来ないうちの歯科医院にとっては非常に悩ましい問題です。個人の楽しみとしてのインターネット環境の不備では我慢すればよかったのですが、実際の仕事に支障が出てくればこれは別です。 これまで何度かブロードバンドを提供する通信会社に当たってみてはいたのですが、どの会社もサービスの予定は無い、お客様の要望は受けたとの返事のみ。どうも僕のような一個人が話をしても通信会社の方針を変えることはできません。それではどうしたらいいのか?
インターネットに詳しい友人に相談してみると、最も効果的なのは政治力とのこと。企業が収益性を考えている中、自治体や地域住民の要望が強いことを議員を通じて伝えるとさすがの通信会社も動かざるをえないそうで、歯科医師会に関係している地元議会の議員にお願いした方がいいとアドバイスを受けました。
僕は地元歯科医師会の元上司の先生を思い出しました。この先生はひょんなことから僕が住んでいる地元出身の議員の後援会の会長をしていたのです。僕は早速この先生と会い、事情を話すと、議員に伝えることを約束してくれました。 そして、昨日でした。僕はこの先生と同席で地元出身の議員さんと会うことができました。僕の話を耳に傾けてくれました。この議員は、さすが地元出身だということもあり、地元のインターネット環境について熟知していました。ただ、地元の住民が高齢の人が多いことからなかなかインターネット環境改善に向けての要望が少なく、動きようがなかったとのこと。実際の僕の事情を聞き、前向きに検討し、動くことを約束してくれました。
さあ、このお願いが功を奏するかどうかはわかりません。結果は神のみぞ知るということになりますが、少なくとも2年後には仕事に支障が無いインターネットブロードバンド環境が得られたら有難いものです。
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