昨日、地元歯科医師会の事務局へ出かけた時のことです。事務局の事務員さんがある荷物の移動をしていました。何を運んでいるのか尋ねてみたところ 「過去の帳簿類を倉庫に運んでいるんです」とのこと。 僕も事務員さんの仕事の一部を手伝ったのですが、倉庫には過去の書類が収まった大量の段ボール箱がありました。あまりの多さにびっくりした僕は、これら書類の保存期間を尋ねたところ、 「法人では帳簿類の保存期間は10年なんです。」
事務員さんの話によれば、法人である歯科医師会の帳簿類、関係書類等は10年の保管の義務があるようです。書類が多く溜まったからといって勝手に処分することができないのです。大量の段ボール箱の存在は仕方のないところでした。
このような書類の保存義務ですが、歯科医院や医院などの医療機関でも同様の保存義務が課せられています。一体どれくらいの保存期間はなのでしょう? まずは診療録、カルテですが、これは医師法、歯科医師法、療養担当規則で保存期間が決められています。診療終了後、5年間の保存義務があります。 それ以外では、処方箋、病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真などは保存期間は2年で、これは医療法施行規則に定められています。 一方、保険医療機関において保険診療を行う場合、別の保存義務があります。保険診療のルールを定めた保険医療機関及び保健医療療養担当規則によれば、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から3年間保存しなければならないという文言があります。すなわち、保険診療を行う医療機関においては、カルテ以外の書類や資料は3年間保存しないといけないわけです。例えば、歯科においては、レントゲンフィルムや診断用模型などは治療終了後3年間保管しないといけないのです。
どこの医療機関でもカルテ、診断用記録などは保管に苦労をしているようです。大きな病院などでは保存義務期間を終えた書類でも保管し続けたり、マイクロフィルム化することをしているようです。 町医者と呼ばれる一般開業医療機関では、保存期間を過ぎた書類は処分することが多かったのですが、最近ではカルテなどは電子カルテが導入されたおかげで、保存用コンピューターがクラッシュしない限り、半永久的に保管できるようになってきています。紙の記録を保管場所に苦労しないような時代になってきているのが現状です。
書類の保存義務期間は基本的に紙の用紙を前提にした話でした。今後、記録の電子化が進んでくれば、これら保存義務期間の見直しもあるかもしれません。
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