2009年04月13日(月) |
早食いと肥満との関係 |
以前、ある格闘家が語っていました。 「我々はどうしても体重を増やさないといけない立場でした。体重が1キロ違うだけで相手に与える圧力が違うものですから。たかが1キロ、されど1キロなのです。そこで行うことは練習を行うことはもちろんですが、練習後の食事も大切でした。一般の人のように味わうために食べるのではなく、如何に多くの食べ物を食べるかが大きな問題なのです。体重を増やすためですね。そのために行っていたのが早食いです。あまり口の中でかみ合わせず、飲み込むように食べる。そうするとたくさんの食べ物を食べることができるんですよ。これは決して健康的な食べ方ではありませんが、体重を増やすためには食事も一種の練習ということで割り切っています。」
最近の早食い、大食いブームからすれば必ずしも当てはまらないかもしれませんが、肥満になっている人の食生活を見ていると、確かに充分に時間をかけながら食べていない、早食いの人の割合が多いように思います。 逆の見方をすれば、じっくりと時間をかけ、よく噛んで食べれば肥満になる確率は下がることも言えるのです。上記の格闘家曰く
「ダイエットをしようと思えば、我々の経験の逆をすればいいんです。すなわち、早食いではなくよく噛んで味わいながら食事をする習慣を身につければいいんです。不思議なもので、よく噛んでいると少量の食事でも満腹が得られるんですよ。食べる量が減るということはダイエットにもつながるはずです。よく若い女性がダイエットで四苦八苦されている話を耳にしますが、運動も大切ですが、よく噛んで食事をすることをお勧めします。我々と逆のことをすれば体重は減るんですよ。」
どうしてよく噛むと体重が減るのか?最近の研究では、脳の中の満腹中枢と言われる領域と食べることをつかさどる摂食中枢が近いことが関係していると言われています。よく噛むことで摂食中枢が何度も刺激を受けると近くにある満腹中枢も影響を受け、少量の食事でも満腹中枢が満腹だと感じるようになり、食べ過ぎることなく満腹感を得る。結果として、少量の食事で満腹となり、これが継続すれば体重減少、適正体重の維持につながるとされています。 また、よく噛むことは脳の中にあるヒスタミンという物質を活性化させることがあるようなのですが、このヒスタミンが食欲を抑え、エネルギーを消費させる働きを担っているとの研究成果もあるようです。
日本歯科医師会や厚生労働省では“一口30回噛む”ことが肥満予防法の一つであることを取り上げています。昨今、生活習慣病やメタボリックシンドロームと健康との関係が取沙汰されていますが、メタボリックシンドロームの大きな原因の一つとされている内蔵脂肪型肥満を抑制するためには、生活習慣を変えることが不可欠だとされています。そういった意味で普段の食事でよく噛むことは生活習慣の改善の一助ともなることでしょう。
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