2009年05月11日(月) |
歯ブラシの交換時期について |
最近、患者さんから多く質問を受けることの一つに歯ブラシのことがあります。質問をするということは質問者が質問内容について何らかの関心があってのこと。歯ブラシに関する質問が多いということは、歯ブラシや歯磨きに注目している人が多いということでしょう。歯医者にとっては非常に好ましいことだと思います。歯医者といえば、痛くなったら通うというイメージが強いわけですが、歯ブラシに関心を持ち、質問する患者さんというのは、歯や口の中の健康維持に関心があり、実践しようという気持ちを持っている表れだからです。
中でも質問が多かったのは歯ブラシの交換時期についてです。この質問は何度か歯医者さんの一服日記で書いてきたことではありますが、何度書いてもいいことだと思いますので、今回も書いてみたいと思います。 基本的に歯ブラシの交換時期は歯ブラシの毛の状態を見て欲しいと思います。毛が柄からはみ出したり、広がったりしている場合は交換時期だといえるでしょう。歯ブラシは毛が命です。毛の弾力性によって歯の表面にこびりついた汚れ、特に歯垢を落とすのです。歯ブラシの毛が広がっていると毛の弾力性が歯に伝わらず、清掃効果が落ちます。また、歯肉を徒に傷つける可能性もあり、本来の歯ブラシの目的が果たせなくなる可能性があります。 歯ブラシの毛と毛の間に食べかすが溜まっているような状態は避けましょう。不潔極まりないからです。よく歯ブラシの毛と毛の間に食べかすが入っていて放置している人がいるようですが、もし食べかすが残っているようならピンセットや糸ようじ、歯間ブラシなどを用いてこれら食べかすは取り除きましょう。どうしても取れない場合や固まっているような歯ブラシは、即交換しましょう。
何も問題がないように見える歯ブラシでも月に1回は交換するようにしましょう。 理由は単純です。毎日歯ブラシを使用していると、目に見えない汚れ、雑菌が毛に付着し、不潔になるからです。 もったいないように思われる方もいるかもしれませんが、歯ブラシの値段は高くても300円以内。一ヶ月に300円以内の出費を高いと考えるかどうかはその人の価値観により異なるかもしれませんが、歯ブラシによって得られる健康を考えれば、僕は決して高くない、むしろ安すぎる投資ではないかと思います。 これは電動歯ブラシや超音波歯ブラシの毛についても言えます。ただし、これら歯ブラシの毛については交換キットが高くなります。僕がこれら歯ブラシを勧めない理由の一つがここにあります。コストパフォーマンスが通常の歯ブラシに比べ高くなってしまうからですね。電動歯ブラシや超音波歯ブラシそのものは非常に良いものだとは思いますが、毎日使うものですから、日常のコストパフォーマンスや普通の歯ブラシと能力がそれほど変わりません。僕は、体の不自由さを補うような目的などが無い限り、患者さんには電動歯ブラシや超音波歯ブラシは勧めることは少ないですね。
歯ブラシの消毒は必要なのか?と思われる方も必要かもしれませんが、毛の材質を考えると、1ヶ月に1度の歯ブラシの交換ができれば、消毒は必要ないと考えます。歯を磨いた後、流水下で充分に汚れを取り、日陰で乾燥させるだけで充分でしょう。 ただ、よく歯ブラシのケースに入れて保存する方がいますが、これは正直言ってよくありません。雑菌を繁殖させる温床となるからです。旅行や移動などで持ち歩く場合でも、極力ケースから出して乾燥させるように気を配りたいものです。
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