2009年05月13日(水) |
異業種の友人のユニークな視点 |
どの業界の方でもいえることかもしれませんが、ある業界で長年仕事をしていると付き合う範囲が同じ業界の人同士に限定されてくることが多くなります。それはそれで仕方のないことではありますが、知らず知らずのうちに業界目線になるというべきか、一定の偏って見方になってくることがあるのではないでしょうか。
医療業界などはその最たる例でしょう。歯医者などはいつも周囲から“先生”と呼ばれていますが、いつの間にか自分が偉くなったように錯覚しがち。無意識のうちに上から目線で会話をしてしまうことが多々あります。何を隠そう僕もそんな輩の一人で、自分の視野の狭さを痛感します。それだからこそ、歯医者さんの一服日記に対しいろいろな意見を伝えてくれる方を大切にしたいと思いますし、そうしなければならないと常に考えています。ただ、誹謗中傷だけは避けて欲しいですけれども。
最近、小学生時代の友人と話をする機会があったのですが、興味深いことを語っていました。この友人、木材関係の仕事をしており、全国各地を飛び回っています。先日、会った時も既に顔は真っ黒。聞けば、仕事の関係で外を回っていることが多かったとのこと。今は紫外線が強くなってきているよとのこと。 そんな彼曰く 「植林用に植えられた木は常に人間の手を入れないと駄目になる」とのこと。話を聞いてみると
「天然の林と違い、植林した林は放置しておくとお互いの木が大きくなる。そうなると、いつの間にか太陽光線を遮るようになり成長が止まる。成長が止まれば木は腐り、林が成り立たなくなる。適度な時期に間引きをしたり、枝葉を刈ったりしながらどの木にも万遍なく太陽が当たり、水分が行き渡るようにしなければ数十年後に商品として木材が出荷できなくなる。」
彼は言いました。 「結局、一度人間が自然に対して何かを行えば、常に人間が世話しないといけない。これは宿命だよな。人間が手を加えた林は最後まで人間が手を加え続けないといけないんだよ。これって人間の口の中とよく似ているよな?」
「口の中の歯っていうのは、人間そのものだろう。歯が生えてくることは誰も意識はしないけど、常に歯のことは意識し、清潔にしようとしているじゃない。中には何もしない奴もいるかもしれないけど、身だしなみの一つとして歯を大切にすることは最早常識に近いものがある。歯を大切にすることは死ぬまで続くことだろう?」
「歯って人間が手を加えた林みたいなものだよ。いつも気をつけて管理しておかないと、虫歯や歯周病になってしまうだろう?そうさんがいつも言っているじゃないか、『歯の健康維持には毎日の歯磨きと定期検診が欠かせないって。』俺は自分の仕事を考えれば非常によく理解できる。だからこそ、いつも歯を磨いているし、定期検診にもまめに通っているだろう?」
木材関係の仕事をしている友人独特の視点による話ですが、専門家が語る言葉には示唆に富むものがあります。人が手を加えた林の話と歯の健康維持に話を結びつける話は多少無理があるかもしれませんが、彼の言わんとしていることはよくわかりました。実にユニークな視点ですし、僕自身、非常に勉強になる異業種の人との会話でした。
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