はぐれ雲日記
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2006年05月22日(月) 逢いたくて逢いたくて

小学校高学年になっても、わたしはあいかわらずギャザースカートをたくし上げて
ゴム段をしたり石けりや缶ケリをして遊びに興じていた。
幼い弟たちと地面に水をぶちまけ、泥をこねて山を作ったりお団子をこさえたりしていた。
そんなある日、近所のシスターボーイのオサムちゃんがしゃなしゃなとピンクのラッパズボンで(!)
ドブ板を踏み鳴らしながら私たち3人の横を通り過ぎた。
通り過ぎざま、「アラアラおいしそーなおだんごあたちにもちょうだいな」とお愛想を振りまいた。
振りまいたのは良いがせっかくまんまるくできた団子を踏み潰して行った。

片っ方の耳にイヤホーン。イヤホーンの先には当時流行ったゲルマニウムラジオ。
それを手にもって電波の調整をするように上下させながら・・・
♪愛した人はあなただけ〜。わかっているのに・・・こっころの糸がむすべないふったりいは恋人ぉ〜
と高い調子で歌い出した。歌いながらご満悦の様子で、歩幅を調整しているのではないかと思うほど
ある地点に正確に到達した。・・・ そこには犬の糞。
わたしと双子の弟は坐ったまま泥だらけの顔であんぐりと口をあけてその様を見ていた。
正気にもどったオサムちゃんは「あっちゃあ〜!」と言いながらおんなもののサンダルをそこら中の雑草で
ぬぐい始めた。 わたしたちはまるで自分たちが悪いことをしたようにこそこそ泥遊びの片付けにかかった。

その後、園まりの”逢いたくて逢いたくて”を聞く毎に、色っぽい歌い方をする人だなあーと
感心しつつ、犬のふんのありかを教えなかった自分のあの意地の悪さは、泥団子をふんづけた仕返しか
女物のサンダルを履く男へのこらしめだったのかいまだによくわからない。

眠る時以外は恋する人のことを思っていた・・・。”逢いたくて逢いたくて・・・”
そんな恋心からとんと縁が無くなってはや四半世紀。(?)
でも、でも、今ではオサムちゃんを思い出すととても胸が痛むよ。
ペラペラピンクのラッパズボン。 まとまらないよな〜今日は。


鈍角 |MAIL

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