カゼノトオリミチ
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ドアをノックをすれば
部屋の中に 静かにでもすばやく
硬く緊張した空気が走る
その電流を流したのは この手 このノックの音
足が凍る
わかっている 立ち去るわけには行かない
引き戸に手をかける
カラカラと乾いた音 乾いてゆく舌
部屋の中は
微笑むヒト よそを見ているヒト
そこには 柔らかな時の流れ
断ち切られたことなど一度でもなかったと言いたげに
私もそこで 宇宙服を着ています
みな息を潜めている
なのに
部屋の窓から見える若葉は眩しく
きらめく風に揺れたりして
ビル越しの光が 窓際のヒトの髪を茶色に染めてたり
誰かが淹れるふくよかなコーヒーの香り
時は眠たげに 帰社時間に向けて針を動かし
ティータイムのおしゃべりは 目の端だけで笑い
居心地の悪さとかは 誰もが宇宙服のせいにする
natu

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