世田谷日記 〜 「ハトマメ。」改称☆不定期更新
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途中でしんどくなっていた「abさんご」を少し前に読み終わった。 最後の最後でやられちゃって、なんか感動して終わった、という予想外の 展開。
エピローグとも言うべきわずか十二行に、もっとも弱いところを直撃されて しまったという… 自分でも情けないのだけれど、致し方なし、という結果に。
この小説、私にとってしんどかったのはその文体ではなくテーマ。あるいは 主人公の生き方。あるいは主人公が延々と胸の中に抱え続けてきたもの。 その、救いのなさ。
文藝春秋に載った賞の選評でもっともにべもなかったのが山田詠美ので、 もしかしたら主人公の主張もなにもない、ただされるがままの生き方が理解 できなかったのではないか。 つまり「どこに読むべきものがあるのか?!」と思ったのかもしれない。
難解といわれる文体は、むしろ好きだった。もっと悪い意味で難解な文体は たくさんあるし、abさんごの場合は純粋に文学的で、きれいなものだと 個人的には感じたな。
ところで、タイトルの「abさんご」だけれど、abが選択肢(aかbか) を表しているのは、作品を読めばおのずとわかる。 ならば「さんご」は珊瑚で、無数の選択肢を持った人生の全体像を珊瑚樹に たとえたのではないだろうか。
とうことは、さんごは枝珊瑚でなければならず、テーブル珊瑚では成立しな いということになりますが。どうかな?
↑手持ちのサンゴにはあまりいいのがなかった…
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