☆空想代理日記☆
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昨日は何もしなかったし、何も起こらなかった。
砂糖を口のまわりにたくさんつけたまま外出もしなかった。爪をうっかり切りすぎることもなかった。
白い野生猫『るのあ〜る』が人間の指をくわえて現れることもなかったし、パソコンは爆発しなかった。
何かをしようともしなかった。無気力というふわふわした感覚が形になって不逞者に浸透してくるようだった。
それもあってか、テーブルの上の消しゴムのカスも捨てないままだった。ティッシュを使って丸めて捨てようと最初は思っても、丸めたまま消しゴムのカスの横に飾った。
廊下を歩いていて足の小指をぶつけることもなかった。実に嬉しいことだ。
祖母がとつぜんやってきてお小遣いをくれることはなかったし、年金暮らしに飽きてしまい海賊になっていたという事実もなかった。
何もしないということは、たくさんのことをするより大変なのだとわかった。なぜなら息もできるだけしなかったので、不逞者はひじょうに辛かったからである。
不逞者、明日からはスケジュールをぎゅうぎゅう詰めで生きていこうと強く誓った。
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