☆空想代理日記☆
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第二次引っ越し計画にむけて、いろんな物件を不動産屋を通さずに勝手に視にいくことにした。
もちろん鍵はないので外面だけである。しかし、鍵があったところで中には入れなかったのではないだろうかと思った。
どういうことかというと、昨日は800℃を超す真夏日だったからだ。太陽熱によって温められたドアノブをちょっと触れるだけでも丸焼きになるのだった。
凶器とも呼べる灼熱のなか、情報誌に掲載されていた家へ向かった。
途中、ひからびた男性や側溝に流れる汚染された水を必死に口へ運んでいる女性などがたくさんいた。なかには半分溶けかけている子供たちもいて、はだしのゲンを連想させた。
目的の家は自然に囲まれており、優しい風が木々を揺らしている優雅なところだった。
風があるということで、ここらには太陽熱で命を涸らしている人はいず、悲惨な世界とは縁遠かった。
ただ、鍵を持ってないのでドアノブに触れることはしなかったから、正確なことはわからない。したがって泥棒と間違われることもなかった。
ゆっくり眺めていると、どうやら誰かが住んでいる気配があった。残念。
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