☆空想代理日記☆
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そこらへんの虫ケラだったら息絶えていたであろう状況から見事に不逞者は復活した。
「綺麗だろ。眠ってるみたいだろ。死んでたんだぜ、俺」
と、復活した不逞者は『タッチ』の名セリフを豪快に改造して家族その他知人たちを唖然とさせたのであった。
とはいえ、頭痛や関節痛はまだおさまってはいない。それに、治っていたとしても仮病のままでいようかとも思った。
病気の時はなぜか周りの人々が優しくしてくれるからである。
このまま病気のふりをしていれば、ご飯は手を遣わないでも喰べられそうだし、ジャンプを読む時も眼で合図を送ればページをめくってくれそうな勢いが感じられた。
「海が視たい」
突然の迷惑要求に対しても笑顔で対応してくれそうでもある。
問題は、不逞者のお茶目な嘘がバレてしまった時である。たぶん両手足を縛られてドラム缶に入れられるかもしれない。コンクリート詰めかまたはぐつぐつ煮えたぎる熱湯にてダシをとられるかもしれない。
やはり、状況を把握して復活した報告とお礼を述べておかないとあとが怖いのだった。
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