☆空想代理日記☆
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巨大野菜の上部をフタのようにぱっかりと割って飛び出し、腰をふって踊るまでの復活はまだ遠い。
昨日は、口から卵を吐きだす時のピッコロ大魔王みたいな表情だったと思う。それほどの腹痛が不逞者を襲った。
森があったらとにかく迷う不逞者が腹痛に襲われたのだ。これは大問題であった。
今回の腹痛はこんな感じだった。長方形の台の上に仰向けの不逞者が寝かされており、手足は半円形の鉄でおさえられていた。天井からはイチョウ型の鋼の刃が左右にぶらぶら揺れていて、少しずつ不逞者の腹部におりてくるといった感じである。
頭がおかしくなったのかもしれないとも思ったが、実際におかしいのはお腹の調子だった。
だが、このような危機的状況でも不逞者は人間だった。
誰かが買ってきた梨がキッチンに置いてあったので、不逞者は周囲に眼をやりながら梨を奪ってきたのだった。
それを自分の部屋の隅っこで壁を向きながら喰べたのだった。おそらく丸まった背中が揺れている成人男性だった。
大好物の梨はひじょうにみずみずしかった。てのひらサイズの泉のようだった。したがって腹痛は続行中である。
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