☆空想代理日記☆
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昨日も天候に恵まれていて上機嫌だった不逞者、散歩がてらに蕎麦屋に立ち寄った。
店内は慌ただしくて混雑していた。ナスビと人ごみが苦手な不逞者はくるりと背を向けようとしたが店員さんの爽やかな誘導に逆らえなかった。青春果汁100%のような誘導だった。
相席した男性はおじさんだった。モアイ・ザ・バーバリアンに三日三晩、練りゴマを飲ませ続けたような顔面をしていた。
よく視るとそれは、不逞者が中学生だった時の担任の先生であった。
「その人殺しみたいな笑顔は忘れられないよ」
先生はこのような冗談を言った。が、不逞者の心中はおだやかではなかった。
「先生はいまだに生徒に向かって『ビンタ50発と膝蹴り50蹴りのどちらがいい?』なんてことを言っているのかね?」
先生は表情をかたくして、ばつの悪そうな感じだった。
このように元中学生と元担任が出会ってもろくなことがないのだった。思い出話に花が咲くというよりも、思い出話に毒を盛ってしまったようになるのだった。
2人揃って時間を気にし、赤よりも赤い他人同士のようだった。
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