☆空想代理日記☆
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地球はすっかり冬支度をはじめてしまったようで、夜は凍てつくように寒かった。つまりは、『いてつくはどう』を背後からくらわされたようだった。
ということで、夜は鍋にしようと思った。それも淋しい独り鍋である。
少年ジャンプやらマガジンを並べて、たくさんの人と鍋をつついている想像をしながら喰べることにした。どのような味付けをほどこしても、塩味になるのだった。
その泪味の鍋は、まるでウォーターベッドの中で泳いでいるような感じだった。夢心地とはこんなものかと不逞者は感心した。
煮えすぎない白菜の食感はシャキシャキというよりは「シャヌフン」みたいだったし、死にたての魚は弾力があって「グァムグァム」みたいだった。
お手製のつくねは、ヴァンパイアなら壁をかきむしりながら眼玉が飛び出そうなくらいニンニクを入れてしまった。吐く息が黄色くないかと気になった。
こうして冬のはじまりに独り鍋を成功させたので、今シーズンはなにがあっても耐えられそうだった。たとえば、バスの中で他人の傘の先からしたたる水が不逞者の足にかかっても耐えられる自信がついた。
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