Skipper Johnの航海日誌

2007年08月21日(火)

長期戦略で中国での人材育成

2008年1月から思考される労働契約法では労働者の立場をより強化する内容が盛り込まれる。中国拠点をどう進化させるかが問われている。もともと長期雇用を前提とし、社内でじっくり人材を育てることで国際競争力を高めた日本企業。中国でも長期雇用の観点で人を育てることが重要。
(8月14日付け 日本経済新聞11面)

戦略ポイント:人を育てて、そして仕事をしてもらうこと

中国の新・労働契約法では、三回目の労働契約では終身雇用となるなど、労働者を長期で雇用して安定化を図る方向になっています。これは中国政府の長期的雇用戦略に沿ったもので、今後数十年と言う長い視点で雇用確保を目的とした動きの一環です。

これはあるコンサルの方に聞いた話なのですが、中国政府は地方で余剰労働力として余っている約2億人の農村労働者を、数十年掛けて地方都市の工場労働者として吸収させるという、遠大な計画なのだそうです。さすが、中国人の考えることはスケールも時間もケタが違いますね。

労働契約法が以前より労働者の権利を守る方向であることは、在中の日系企業にとっては追い風とも言える状況になったと思います。

中国や欧米ではいい人をヘッドハントしてでも連れてくるという考えが強いと思いますが、日系企業は人材を育てることが得意です。日経の同じ記事によれば、トヨタは幹部育成機関である「トヨタ中国学院」を設立し、出資先の管理職を対象にした共同研修をスタートさせたそうです。

社内で人材を育成していくノウハウを作っていくのには莫大な時間が必要です。日系企業はガバナンス等で硬直的なところがある反面、時間とコストをかけて社風に合う人材を作っていくことに慣れています。このあたりのノウハウには中国政府も在中の日系企業に大いに期待しているといえるでしょう。

自分達の強みに気付いてそれを生き筋として生かしていく。特に人材育成面は日系企業に活躍の場があると信じています。


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Skipper John