Skipper Johnの航海日誌

2007年09月03日(月) 中国、食品と玩具にリコール制度を導入

中国、食品と玩具にリコール制度を導入

 中国の国家品質監督検査検疫総局は食品と玩具を対象にしたリコール(無料の回収・修理)制度を即日実施すると発表した。メーカーに問題製品の自主回収を義務づけ、実行しない場合は当局が強制的なリコールに乗り出す。国内外で高まっている中国製品の安全性に対する懸念を沈静化する狙い。
(8月31日付け NIKKEI NETウェブサイト)

戦略ポイント: 新たな制度をどこまで徹底できるか


日本では食品衛生基本法やPL法(生産者責任)があって、不具合が分かった商品はメーカー側の責任と費用負担で全品回収したり修理したりするこれらの法律で厳しく管理しています。リコールは多大なコストがかかるのと同時に、対応を誤ると会社のブランドや価値を大きく減損してしまい、雪印や不二家のように会社の存亡の危機にまで及んでしまうことがあります。

中国では、最近特に食品関連の安全性に関して人民の関心が高くなっています。国家食品薬品監督管理局の前局長・鄭篠萸被告が新薬の承認を行う際に649万元(約1億円)を収賄したとして、今年7月に死刑になりました。中国も食品や薬品の安全性確保に真剣に取り組んでいるようです。

しかし、中国でリコール制度を導入したからといってすべてが解決されるわけではありません。リコール制度の導入はまだ食品や玩具の安全性を高める第一歩であり、これからさまざまな決まりを作っていかなければなりません。

例えば、小規模な食品メーカーでは出荷の記録が残っていないとか、問題のあった食品製造時のレシピやサンプルが残っていないとか、日常の製造工程管理が十分でない中で製造販売しているのが現状です。流通経路も多岐にわたっていて、回収がどれだけ徹底できるかもまだ疑問が残ります。また、回収するコストさえ負担できないという、「無い袖は振れない」状況も多く発生すると思われます。

国の安全基準や回収・修理まで徹底させるにはまだ多くのコストや現場の意識改革、そして長い時間が必要です。リコール制度の導入を皮切りに、人民が安心して購入できる食品や玩具の流通を期待しています。


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Skipper John