Skipper Johnの航海日誌

2007年09月21日(金) 中国・バイオエタノールに「待った」_食糧確保で投資禁止

中国・バイオエタノールに「待った」_食糧確保で投資禁止

国家発展・改革委員会(発改委)は20日、「トウモロコシ加工産業の健全な発展を促すための指導意見」を発表し、第11次5カ年規画(2006−10年)期間中にトウモロコシ加工プロジェクトの開始や拡張を禁止することを発表した。20日付で香港・経済通が伝えた。中国国内ではトウモロコシの需要量が急増する一方で生産量が伸び悩んでおり、安定確保が大きな課題となっている。2010年の生産量は06年と比べて3.5%増の1.5億トンにとどまるものの、需要量は14.3%増の1.5億トン超となる見込みだ
(9月20日付け 中国情報局ウェブ)

戦略ポイント:バイオエタノールの将来は不透明か?

三井物産の2007年データによれば2006年度の世界のエタノール生産総量は50百万キロリットル、そのうちアメリカが19.2百万キロリットル、ブラジルが16.7百万キロリットル、三位は中国で3.9百万キロリットルだそうです。中国の主な原料はトウモロコシ、小麦だそうです。
サイト名http://www.env.go.jp/earth/ondanka/conf_ecofuel/05/mat01_5.pdf

ブラジルではバイオエタノールをガソリンに混合させて利用する状況がかなり普及してきています。エタノールの混合比率は20%強で、日常的に活用されている唯一の国といえるでしょう。こういう動きがブラジルから起こっているのはとても興味深いと思います。新たなウェーブになるかもしれません。

しかし、ここ1-2年ほど、米国やブラジルではバイオエタノール生産が加速度を増してきて、その反動でトウモロコシの先物価格が世界的に高騰しています。このニュースのとおり、中国でもトウモロコシの需要に生産が追いつかない状況らしく、バイオエタノール生産を少し減速してでもトウモロコシの安定確保が重要になってきているようです。

バイオエタノールはまだコストが高く、なかなか普及しづらい側面があります。しかし各国も智恵を絞って、エタノールを混合すれば、その量に応じたガソリン税を控除するなど、利用促進を進めています。

昨今、化石燃料の枯渇が叫ばれ、バイオエタノールのような再生可能な液体エネルギーへの需要が高まっています。中国は世界でも積極的にバイオエタノールの導入を検討してきただけに、今回の決定はブレーキを踏む形となってしまいました。更なる研究が進むことを願っています。


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Skipper John