Skipper Johnの航海日誌

2007年09月22日(土) 北京「前門」に帰れない老舗「爆肚馮」

北京「前門」に帰れない老舗「爆肚馮」

北京前門の天街で百年以上続く羊モツ料理で有名な「爆肚馮」はもう昔の場所での営業継続は不可能となった。一平方当たり一日の家賃が37元と値上がりし、とても払えなくなったからだ。店主が言うには、「この家賃を払うためには、今は一杯10元の羊モツを50元にまで値上げしないといけない。それではお客さんが来てくれないので移転を決意した。」とのこと。北京の名物がまた一つ消えることとなったようだ。
(9月17日付け 経済観察報)

戦略ポイント:老舗の生存

老舗が消えてしまうのは少し寂しい気がします。「爆肚馮」は前門でも有名なお店で、いつも行列ができるほどの人気店でした。また、先日北京の八面槽を通ったとき、これも老舗で有名な「ワンタン侯」がまだあるかしらと見たのですが、再開発のためか昔の場所にはもうなく、これも残念に感じました。

こういう老舗はできれば移転してでも昔の味を伝えて欲しいと思うのですが、一旦国営レストランになってしまっているせいか、あまり上手な経営やマーケティングができずにいるように感じます。上海でも多くの老舗がだんだんと忘れ去られようとしている姿を見るにつけ、何かやり方はないものかと思案してしまいます。

老舗というのはそれだけでもブランド価値があり、このブランドをうまく育てて行けば相当な価値が出せます。北京を例にすると、北京ダックの「全聚徳」や羊しゃぶしゃぶの「東来順」などは北京だけでなく全国各地に支店を出してがんばっています。

老舗創業時の理念や大切に守ってきたお店のポリシー、歴史に裏付けられたエピソードなど、再発掘すれば面白いストーリーが出てくると思います。また、このお店しかないという特徴を訴求したり、客のリテンション対策の実行など、まだまだやれることがたくさんあると思われます。

経済発展と共にものすごいスピードで変化して行く街の姿は、これはこれでとても魅力的ですが、いつの時代も「ここにある」という老舗の価値は訪れる人にまたとない安心感を与えてくれるものです。上海でも老舗の再発見が待たれるところだと思っています。


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Skipper John