舌の色はピンク
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僕の隣の家には同い年の女の子が住んでいて、 小5の頃引っ越して以来同じ中学に通ったり同じクラスになったり 隣の席にまでなったりということが何度もあったが そこにまったくロマンスは存在していなかった。
まぁ可愛い方で、かつ活発、友好的な彼女は 学年でもトップクラスのモテ度を誇り、 実際に同学年の男どもが僕の家に泊り込んで会議した末に告白する、 そんなイベントが続出した時期まであった。
僕はといえば、引越したばかりで戸惑う僕に まずはじめに接してくれた女の子として "隣の家の少女"にほんの一瞬淡い恋心を抱いたりしていた。 でも僕はむしろ、彼女をカノジョにしたいといきまく 他の友人らを応援していきたかったので、 この壮絶なレースの観客となり第三者的立場から楽しむことにした。
忘れもしない中学2年生の夏、 友達二人(仮にγとΣとします)と地元の花火大会を観に行って、 帰りはそのままうちに二人して泊り込むこととなった。 当時γは"隣の家の少女"に惚れていて、告白すべきかどうか、 どう告白したらいいか、フラれたらどうしようなどと長い間ウジウジしていて それを僕とΣが無理やりけしかけそそのかせはやしたて、 「大丈夫だよ」「告白してから考えろよ」「一歩進まなきゃ落とし穴にすらかかれないんだぞ」 などと意味不明な説得を繰り返した結果、 ついにγは告白を決意した。
だけんども、一歩進まずとも落とし穴はあった。 といおうか、γは、落とし穴の底で愛を叫んでいたのだ。 ……つまり……その…Σが………その……。 Σはその時すでに"隣の家の少女"と付き合っていたのだった。 Σは己のトモダチを己のカノジョにコクハクさせたのだった。 γにはいつまでも知らせられない。
6年近くも時を隔てた今日、 Σと"隣の家の少女"の愛の結晶を見せてもらった。 世の汚いことを何も知らない 可愛いらしい赤ちゃんだった。
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