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■ 災難��
「で。学校は?」 「へ?あ、あのー……ご、午後から終わり…」 「な、訳ないよねえ」
声はすげー優しいけど、全然笑ってねえよ、ハルちゃん。 目がマジで怖い。
「う、うん」 「サボったんでしょ」 「え」
淡々と問われる内容にただ頷いていたけど、さすがにぴたりと止まる。 はいと言ってしまえば、長々と説教でもされるに決まってる。
「サボったんだよね?」 「……はい」
だがそんな心の内は見え透いていたらしく、覗き込まれるようにして聞かれればあっさりと頷くしか出来ないわけで。
「何でそんなやる気ないんだろうねぇ、トーヤは」 「え、と。つ、つまんねーから?」 「……」
掴まれた襟が、心なしか更に強く引っ張られたような気がするんですけど。 猫か何かと間違われてんじゃないか、俺。
元はと言えばアイツが、電話なんかしてくるから逃げ損ねたんだ。いやそれ以前に、女と病院なんか行ってんじゃねーっての。
このまま引きずられて行きそうな雰囲気をバシバシに感じながら、上へと連れて行かれる。二階のリビングでいつもみたいに説教されんのかと思いきや、三階まで上がらされた。
三階はそれぞれ自室しかない。 勉強でもしとけってことか。 遊びに行けないのは残念だけど、籠もってるだけでイイなら説教よかマシだ。ダルけりゃ寝て時間潰せばいーし。
そう頭の中で算段をして、ほっと胸を撫で下ろす。
だけどハルちゃんが開けたのは、俺の部屋ではなく。
「ナツキ。入るよ、いいね」
向かいの部屋の扉を開け――俺の腕の長さでは届かない距離dと悲しくなったが――ナッちゃんに声をかける。
既に開け放って入ってる、とは思ったけど黙ってることにした。 こういう時はとにかく黙っているに限る、とは今まで生きてきた中で覚えた唯一の策だ。
シュウちゃんあたりには『バカの一つ覚え』とか言われてるけど、これ以外解決策があるなら教えて欲しいもんだ。
それにしてもこの部屋、なんか酒臭い。 …しかもナッちゃんまでいたのかよ。 てっきり仕事でいないものだと思い込んでいた俺は、どれだけ周りの気配に疎いんだろう。
ここまで疎いと、逆に切なくなるんだけど。 小学校の通知表に、もう少し落ち着きましょう、と書かれた担任の所見まで思い出してしまって溜め息を吐いてしまった。
「ナツキ、起きて。ちょっと、トーヤの面倒見て欲しいんだけど」
そんな俺の切なさにも気付かずに、ハルちゃんがそんな事を言った。
…面倒って。 そりゃ人の面倒を見れるくらいしっかりしてねーけど、面倒を見られるほどでもないだろ。 ああ何かもうこの家における俺の立場って、幼稚園時から変わってない気がしてきた。
そして部屋の主であるナッちゃんと言えば、服を着たままベットの端に背中を預けて眠っていて、ハルちゃんの呼び掛けに答える気配はなかった。 よくこういう状態で寝ているのを見るけど、体痛くないのかと不思議だ。
俺ならソッコーで寝違える自信がある。
入った瞬間から思った酒の匂いは、どうやらナッちゃんのせいらしく、傍に寄ればさらに酒臭さに顔を顰めてしまった。
「ナツキ。ほら、起きて」 「……んー」
亜麻色の頭がかくりと揺れ、ものすごくのろい動きで俺らを見てから、眠そうに欠伸を一つ。 職業モデル、というだけあって、そんな小さな動作でもやたらに映えて見えるのは俺が身長コンプレックスを抱えてるからか。 あんま考えたくないけど。
********** すみません。 草稿保存したつもりが、登録になっていたようで、日曜日分が土曜日にupされていました。推敲前の文章というか大まかな流れだったので、とりあえず消しました。 読んだ方はそれなりにいらっしゃるようですが、ご迷惑をお掛けします。 そして次から気を付けます〜。
2007年12月02日(日)
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