もうだめだ! - 2008年01月02日(水) 夜中の受付勤務を控え、少しの仮眠をとろうと横になったその時、 火災の予告指令が静まりかえった庁舎内に響き渡る。 即座に防火衣をまとう。 本指令が入る。 「火災指令、火災指令、○○町○○、建物火災、第2出動」 「あちゃー!」 嘆きの声を発する間もなく指令書に目を通し、火災現場の確認する。 救助工作車に乗車し、AVM出動操作・・・・・ ここまでは、いつもの出動パターンだ。 しかし、現場の工場名には聞き覚えがない。 「はて、何の工場なのか?」 外は生暖かな風が吹いていて、いかにも災害が起きている兆しをみせているかのようだ。 先着隊からの一報が入る。 「工場からの炎は外周からは確認できず、工場内にあっては煙が充満している。」 助かった!と安堵感もつかの間。 「化学車の増強要請!燃焼物品は工場内のアルミ粉」 それこそ、「あちゃー!」である。 アルミ粉の燃焼は、水をかけると水蒸気爆発を起こし、火災を誘起する性質を持ち、禁水である。 いくら化学車を増強しても化学液自体水溶性であるから意味がない。 化学車の隊長は、乾燥砂の備蓄確認をとるとともに、その搬送に切り替えた。 工場内の濃煙熱気及び自然鎮火までの長期戦に備え、空気呼吸器の予備ボンベの増強を要請する。 現場到着後、2名の隊員に周囲の確認と要救助者の確認を指示する。 1名は自分に同行するよう指示した後、工場内検索に入る。 進入後、10メートルほど進んだ時点で、濃煙熱気により呼吸及び視界が不良となり、隊員に呼吸器の面体着装を指示、なおも火点の確認に前進する。火点らしきドラム缶を発見、燃焼物体を確認するも、これだけじゃないはずだ! ドラム缶直上にあるダクトだ! 咳き込む・・・・・ 「あちゃー!」 面体着装前にかなりの煙を吸い込んでいる。 咳が止まらない! 面体の中での咳こみは苦しい。 呼吸器は本来吸わなければ空気の流入はなされない。しかし、今日着装しているのは、自動陽圧型の呼吸器だ。 面体内は常に陽圧を保っているはずだ。しかし、吸おうとしても身体が機能しない。 気管支が収縮しているのか、ゆっくり深呼吸しても呼吸ができない! 空気が・・・・! 苦しい! 焦る! このままじゃあ・・・・・死んじゃう。 “喘息の発作みたいだ” 隊員に脱出を指示する。 脱出後、外気の新鮮な空気を吸えども、咳き込み、嘔吐もしばらく治まらない。 隊員には他の隊員と合流させた。 ごめん! こんな指揮者で・・・・ 進入前に、早めの面体着装を心がけるべきだった。 ちょっとばかりの節約が何になる。 自分自身の保護具じゃないか! 限られたボンベの容量、活動するには自分で呼吸量を管理し、節約するのは当然だ。 しかし、節約の意味が違う!度合いが違う! 指導者たるもの、早く気づけ! この火災で一つの教訓を得た。 そして、自分の健康管理の大切さ・・・・ ...
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