こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2008年11月06日(木) 彼と初めてのドライブ


 秋の空が美しい、良く晴れた休日でした。

 私が待ち合わせ場所に近づくと彼から携帯電話に着信。


 「見つけたよ。白のスカートはいてるでしょ?」


 私が彼の車を見つけるより先に、彼に見つけられたようです。



 彼の車に乗り込んで出発。

 向かう先は山の麓にある美術館でした。

 彼の車の中はゆったりと快適で、

 彼がセレクトしてくれた音楽を聴いたり、他愛も無いお喋りをしたり…。

 途中車を止めて、山小屋風の可愛いお店で

 美味しいソフトクリームを食べたりもしました。



 車が山間の道に入っていくと、道路はカーブの連続となり、

 私は気分が悪くなってしまいました。


 「大丈夫?」


 「ちょっと酔ったみたい。どこかに車を止めてくれますか?」


 しばらくして彼はドライブインの駐車場に車を止めました。

 車を降りると外の空気がひんやりとしていたので、

 彼は自分のジャケットを私に着せようとしました。


 「ありがとう。でも大丈夫。

  涼しくて気持ちいい。」


 彼といると楽だなぁ…。

 好きという強い感情はないけれど、

 一緒にいる安心感が心地よく感じられるのでした。



 ドライブインでお蕎麦を食べて少し一休み。

 それから目的地へ向かいました。



 美術館は小さな丘の上にあって、

 私が好きだと彼に告げていた画家の作品展が開かれていました。

 彼と一緒に一つずつ絵画を眺めながら、

 あの人のことを思い出してしまう自分がいました。




↑エンピツ投票ボタン

 初めてのドライブデートだというのに、

 隣にいる彼はとても優しく良くしてくれているのに、

 あの人は彼のように気が利く人なんかじゃないのに、

 妙に醒めている自分が嫌でした。



 作品展の出口近くに大胆な男女の抱擁の絵が4枚展示されていました。

 全裸で情熱的に抱き合う男女の絵。

 
 「ハグが4枚だね。」


 彼の言葉に私はそっと微笑んだだけ。

 まだ、指先一つ触れたことがない相手と

 セックスしている男女の絵を眺めている…。

 場合によっては刺激的なのかもしれないシチュエーションに

 何も感じていない様子の私。

 あの時、彼は少し落胆していたかもしれません。



 美術館を出る頃は既に外は薄暗くなっていました。

 かなり遠くまで来ていたので、

 帰りは少し急がなければなりませんでした。



 帰りの車の中、私は疲れてそのまま眠ってしまいました。

 起きた時には既に車は家の近くまで来ていました。

 何故そんな話題になったのかは覚えていないけれど、

 彼は自分の好みのタイプの女性について話をしました。

 彼は太った女性が大の苦手なんだそうです。

 それから好きな女優さんの名前を2人挙げました。

 あの人と彼の好みは全く違う…。

 心の中で私はそう思いました。

 私はあの人よりも彼のタイプに近いとも思いました。

 彼のお気に入りの女優さん達は勿論私よりずっと美人だけれど、

 タイプとして私とあまり遠くないかなと。

 彼となら私は無理しなくてもいいかもしれないと。



 夜、彼からおやすみのメールがありました。

 
  もう具合が悪くはないですか?

  今日の理沙子さんも可愛かったですよ。

  それにしても車酔いするドライブ好きは理沙子さんだけでは?^^


 彼とはこの先どうなっていくのかな…。

 そんなことを思いながら、その夜は眠りにつきました。


 < 過去  INDEX  未来 >


理沙子

My追加