こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2008年12月01日(月) 予感的中


 彼と雁を見に行ったあの夜、

 私のマンションへ向かう彼の車の後部座席で、

 彼はずっと私の手を握っていました。

 私は彼の手を握り返しながら、

 『今度彼に会う時は彼に抱かれることになるかもしれない…。』

 と思いました。



 次に彼に会ったのは二人の仕事のオフが重なった平日でした。

 ランチタイムに、彼は以前話してくれた美味しいハンバーグのお店に

 連れて行ってくれました。

 食事の後、私達は二つの画廊に立ち寄りました。

 彼が絵を買うためにしばしば訪れる画廊です。

 彼と絵を見るのは美術館の時以来二度目でした。




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 今思えば、それは彼の意図するところだったのでしょう。



 画廊を出た後、私達は彼の車で

 郊外の大きなレンタルビデオのお店へ行きました。

 彼は何か面白い映画があれば借りたいと言っていました。

 彼は私以上に映画が好きで、沢山の映画を観ていました。

 映画のパッケージを一つ一つ眺めながら、

 彼の映画の話を聞くのはとても興味深く、楽しいことでした。

 結局、一本のDVDを選んで、私達は車に戻りました。



 しばらく車を走らせた後、彼が聞きました。


 「このDVD、ホテルで見ようか?」


 予想されていた言葉だったけれど、

 一瞬私は驚いて運転席の彼を見ました。

 
 「どうしたの?そんな顔して…。」

 
 「ん…どうしよう。」


 「どうしようって?」


 「今考えてるところ…。」


 私の言葉に彼は笑って言いました。


 「そういうことは家を出る前に考えて来ることだよ。」


 「そうですね…。」



 その時の私の表情と口調で、

 彼は私の返事がYes.だと確信したのでしょう。

 私の予感は的中して、

 その日初めて私は彼に抱かれたのでした。


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理沙子

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