こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2008年12月02日(火) 関係の始まり


 あの人にはシティホテルで抱かれることがほとんどだったから、

 彼がラブホの駐車場に車を止め、部屋を選び、

 エレベーターのボタンを押すごく自然な振る舞いを見ながら、
 
 彼はつい最近まで元カノ、あるいは別の女性と

 この手のホテルを利用していたのだと直感しました。

 その直感がずっと私の頭のどこかにあったからか、

 お部屋に入っても私の心は不思議なほど冷静でした。


 「今日は出来ないわ。女の子の日だから。」


 もうほとんど終わっていることは隠して、そう告げると、


 「それはいいから。わかってるよ。」


 と彼は穏やかに言いました。



 彼は借りて来たDVDをポンとテーブルの上に置くと、

 シャワーを浴びにバスルームへ行きました。

 しばらくして白いバスローブを羽織って戻って来ると、

 ソファーに座っている私をギュッと抱きしめて、


 「本当に細いね。」


 と満足そうに言いました。

 彼は太った女が嫌いなのです。



 私がバスルームに入ると、

 大きなバスタブにはお湯が張られていました。

 私はシャワーを浴びた後、

 心地よい温度のお湯の中に身体を沈めました。

 彼との未来よりもあの人のことばかりが思い出されました。

 私は後悔しないのだろうか…そんな一抹の不安が胸をよぎりました。



 バスルームを出ると、彼は既にベッドの中にいました。

 私は小さな覚悟を決めて、彼の隣に滑り込みました。



 私はこの時初めて彼とキスをしました。

 初めてキスをして、初めて素肌に触れられ、初めて繋がりました。




↑エンピツ投票ボタン
 私は体中熱くなり、汗にまみれ、

 私の真上にいる彼の顔からも汗が落ちて来ました。

 

 終わった後、白いシーツには薄いピンク色のしみがありました。

 やはり私は出血していたようです。


 「処女だったの?^^」


 彼が笑って言いました。


 「うん、そうなの。そんな風だったでしょ?^^」


 「よく言うよ。

  処女がこっちだとすると、君はその対極にあるこっち側。^^」


 彼は両手でスケールを示して、言いました。


 「処女とはかけ離れてるってこと。いい意味でね。」


 「じゃあ、また私としたい?^^」


 「うん、今しようか?^^」


 「もう今日は無理。疲れました〜。」

 
 「最中のこと、ほとんど覚えてないんじゃない?」


 「そんなこと無いですよ。

  その人との初めての時のことって結構ちゃんと覚えてるんです。」


 「そうか。女っていうのは恐ろしい生き物だね。」


 「でしょ。^^」


 彼と冗談を言い合いながら、

 いつまでもこんな関係だったらいいのにと思いました。

 楽しければそれでいい…そんな軽くて明るい関係。

 多分彼もそれを望んでいるはずでした。


 < 過去  INDEX  未来 >


理沙子

My追加