あの人にはシティホテルで抱かれることがほとんどだったから、
彼がラブホの駐車場に車を止め、部屋を選び、
エレベーターのボタンを押すごく自然な振る舞いを見ながら、 彼はつい最近まで元カノ、あるいは別の女性と
この手のホテルを利用していたのだと直感しました。
その直感がずっと私の頭のどこかにあったからか、
お部屋に入っても私の心は不思議なほど冷静でした。
「今日は出来ないわ。女の子の日だから。」
もうほとんど終わっていることは隠して、そう告げると、
「それはいいから。わかってるよ。」
と彼は穏やかに言いました。
彼は借りて来たDVDをポンとテーブルの上に置くと、
シャワーを浴びにバスルームへ行きました。
しばらくして白いバスローブを羽織って戻って来ると、
ソファーに座っている私をギュッと抱きしめて、
「本当に細いね。」
と満足そうに言いました。
彼は太った女が嫌いなのです。
私がバスルームに入ると、
大きなバスタブにはお湯が張られていました。
私はシャワーを浴びた後、
心地よい温度のお湯の中に身体を沈めました。
彼との未来よりもあの人のことばかりが思い出されました。
私は後悔しないのだろうか…そんな一抹の不安が胸をよぎりました。
バスルームを出ると、彼は既にベッドの中にいました。
私は小さな覚悟を決めて、彼の隣に滑り込みました。
私はこの時初めて彼とキスをしました。
初めてキスをして、初めて素肌に触れられ、初めて繋がりました。
私は体中熱くなり、汗にまみれ、
私の真上にいる彼の顔からも汗が落ちて来ました。
終わった後、白いシーツには薄いピンク色のしみがありました。
やはり私は出血していたようです。
「処女だったの?^^」
彼が笑って言いました。
「うん、そうなの。そんな風だったでしょ?^^」
「よく言うよ。
処女がこっちだとすると、君はその対極にあるこっち側。^^」
彼は両手でスケールを示して、言いました。
「処女とはかけ離れてるってこと。いい意味でね。」
「じゃあ、また私としたい?^^」
「うん、今しようか?^^」
「もう今日は無理。疲れました〜。」
「最中のこと、ほとんど覚えてないんじゃない?」
「そんなこと無いですよ。
その人との初めての時のことって結構ちゃんと覚えてるんです。」
「そうか。女っていうのは恐ろしい生き物だね。」
「でしょ。^^」
彼と冗談を言い合いながら、
いつまでもこんな関係だったらいいのにと思いました。
楽しければそれでいい…そんな軽くて明るい関係。
多分彼もそれを望んでいるはずでした。
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