その日、私は仕事の研修のための打ち合わせがありました。
彼はオフィスで待っていてくれているものと思い、
私は途中で電話やメールで連絡をしませんでした。
ところが、彼は既にオフィスを出て立体駐車場に車を止めて、
私を待っていました。
待ち切れずに彼が送信したメールを受け取った時、
前日に私が打ち合わせが終わると告げていた時間よりも
1時間が経過していました。
彼を1時間も車の中で待たせてしまったのです。
私が駐車場に着いた時、彼は明らかに不機嫌でした。
とりあえず助手席に乗り込んで、彼に何度も謝りました。
それでも彼はご機嫌ななめだったので、彼の頬にそっとキスをしました。
彼はその日のディナーのために
素敵なイタリアンのレストランを予約してくれていたのです。
彼にはもう1つ謝らなければいけないことがありました。
彼のご機嫌がますます悪くなる前に、
私達は気分を変えて美味しいものを食べることにしました。
車を駐車場に置いて、彼はタクシーを拾いました。
後部座席に二人で座りました。
彼は運転手さんに行き先を告げると、
私の左手をギュッと握り締めました。
そのレストランはオープンしたばかりで、
シックな店内には沢山のお花が飾られていました。
そのお店で働いてる30代の女性は
以前私達が初めてデートしたお店で働いていた人でした。
私達はカウンターの端っこに座りました。
1時間も待たされた挙句、その夜は私を抱けないと知らされて、
彼はちょっぴり意地悪モードでした。
あまり意地悪を言われると悲しくなってくるけれど、
それだけ求められていると思えば、女としては本望なのかもしれません。
「今日はやけに毒舌ですね〜。
何かあったんですか?^^」
いつになく口の悪い彼に、お店の女性が半ばからかうように尋ねました。
「私が1時間も待たせちゃったんですよ。」
彼の代わりに私が答えました。
「車の中で1時間なら大したことないじゃないですか。
美味しいものを食べて、機嫌を直して頂きましょうね。^^」
彼は私に軽い毒舌を吐きながらも、
いつものように私の好みを考慮しつつ、
色々なメニューをオーダーしてくれました。
ワインが進むと、私も饒舌になり、
いつの間にか彼の毒舌に応戦していました。
「もう1組のカップルいつの間にかいなくなっちゃいましたね。」
「まだ、気がつかないの?
食事は切り上げて行くべき所へ行ったんでしょ?当然…。」
「あ…そっか。」
「俺達は無理だけどね。」
「すみませ〜ん。」
「許さない。」
「怒ってますか?」
「だから、怒ってるっつーの。」
大人気ない彼にちょっと苦笑。^^;
お店を出る頃にはもう12時を回っていました。
私にも彼に抱かれたいという気持ちはあったけれど、
それは無理なので、せめてキスがしたいと思いました。
その気持ちが彼に通じたのかもしれません。
彼が私をタクシーに乗せ、しばらくすると、
彼から携帯電話に着信がありました。
マンションに着いてから彼にかけ直しました。
「今どこにいるの?」
「あの後、バーに来て飲んでる。」
「別れた後に電話なんて珍しいですね。どうしたんですか?」
「別れ際、俺に襲われたそうな顔してたから。(笑)」
「実は襲われたかったです。^^」
「今からこっちに引き戻す?」
「いえ、それは無理ですよ〜。(笑)
また今度ね。^^」
「そっか。」
「今夜は私も我慢して悶々としながら寝ることにします。^^」
「いいねぇ〜。その悶々というのが。(笑)」
「今日のお詫びに、セクシー画像送りますよ。^^」
「俺も後でメールするから。」
帰ってから彼にキャミ姿で胸元ちらりの画像を送りました。
彼にそんな画像を送ったのは初めてでした。
エロくて綺麗だよ。
口の悪い彼には珍しい褒め言葉でした。
抱き合えなかった分、相手への想いを胸に抱きつつ眠りについた私達。
たまにはSexしない、こういうデートもいいかなと思いました。^^
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