こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2008年12月31日(水) ジェラシー


 その日、彼は私と夕方別れた後、忘年会に出る予定になっていました。

 私達はお昼過ぎに待ち合わせをして、

 中国料理の美味しいお店へランチに行きました。

 私達は食事をしながら、新年の予定について話をしました。

 彼は来年の3月に沖縄に行くかもしれないという話をしました。


 「来年どこか海外に行くという話もしてませんでしたっけ?」


 「それはタイの話でしょ。

  両方行くかもしれないし、いずれにしてもまだはっきりしていない。

  今夜一緒に行く人と会うから話をするんだ。」


 「沖縄はお仕事で行かれるんですか?」


 「いや、ゴルフだよ。」


 「何人で行くんですか?」


 「二人で。」


 その時の彼はどこか私の質問に答えることを避けているかのように

 見えました。



 ホテルで抱き合った後、彼が借りて来た映画を観ました。

 私の頭の中で昼間食事をした時の会話が引っかかっていました。

 漠然としたジェラシーが心の中に広がって、

 映画に集中出来ませんでした。

 彼が沖縄に一緒に行く相手は誰なのかな…。

 もしかしたら、それは女性で今夜彼女と二人で会うのかもしれない…。 

 聞きたいけれど怖くて聞けない自分がいました。

 彼の横顔を覗いてみました。

 彼は私との時間を楽しんでいるのでしょうか。

 彼の表情から気持ちを読み取ろうとしたけれど、それは無理でした。



 映画も終わる時間が近づいた頃、思い切って彼に聞いてみました。


 「今夜、女の人に会うんですか?」


 「ええ〜!?」


 彼が素っ頓狂な声を上げました。


 「今夜、女の人に会うの?」


 初めはためらわれた言葉も今度ははっきりと口にすることが出来ました。




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 「あはは、そうだったんですね。」


 「そうだよ。店のオーナーの仲間で忘年会するんだよ。」


 彼はそう言うと携帯電話を開いて、

 仲間の一人からのメールを見せてくれました。

 そこにはその日の忘年会の場所や時間が書かれていました。


 「最後までちゃんとよく読んで。」


 半ば呆れつつ彼が言いました。

 
 「この人と沖縄に行くんですか?」


 「いや、これは今夜の幹事。

  沖縄行くのは今夜来るもう一人の奴。」


 「あはは、そういうことね。な〜んだ。」

 
 我ながら馬鹿みたいだと思いました。

 私は自分が好きな人はとてもモテる人だと勘違いしやすいようです。

 
 「この店、今日初めて行くんだけど、

  いいお店だったら今度連れて行くよ。

  おでんと串焼きの店なんだ。」


 「ほんとですか。

  おでんと串焼き、いいですね〜。」


 ちゃんと聞いておいて良かったと思いました。

 聞かずに家に帰っていれば、

 ずっと心の中のモヤモヤが消えなかったに違いありません。



 そんな話をしているうちに、

 映画のスクリーンは最後のシーンを映し出していました。

 そして、映画のエンディングロールが終わるか終わらないうちに、

 巻いていたバスタオルは彼の手で剥がされ、

 敏感な部分をもう一度愛撫されて、

 眠っていた私の身体は再び目覚めさせられたのでした。


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理沙子

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